The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
「そっか…。やる事終わったもんな」
『ん…多少不安はあるけど……これで未来は変わってるだろうし』
「お前が未来に帰った後は俺が佐野先輩を見とくから…。安心して未来に帰りな」
何時までもこの時代に囚われてほしくない。
安心して未来に戻って、きっと生きている筈の橘と幸せになってくれ。
何も役に立てなかったお詫びに、俺は佐野先輩達が闇堕ちしないように見張る事を誓った。
俺に見張って何が出来るかまだ分からないが、無いよりはマシだろう。
『和泉、ありがとうな。オレのタイムリープの話を信じてくれて、協力してくれて。ありがとうな!』
「大した事はしてないけどな…」
『いや…沢山してくれた。ありがとう…』
「ほら、さっさと未来帰れよ。12年後、会おうな」
『おう!』
電話が切れてから、俺は小さく笑って12年後の未来はどうなっているのだろうと考えた。
もし生きていたとしても家の家業は継いでいるだろうけど…。
「まともに生きていれば…いっか」
まぁ生きているかは分からないけど。
こっちで武道が歴史を変えたから、本来死んでいた俺は生きているかもしれない。
どうか未来で武道が傷付きませんように。
そう願いながら何処かに行こうかと思い、ゆっくりと歩き出した。
「よぉ、和泉。メールに電話無視するなんひでぇじゃんか〜♡」
「……お前が俺にやってた事だろ。自分がされたからって文句言うなよ。面倒くさい」
「拗ねてんの?」
歩き出したかと思えば、後ろからよく知っている声が聞こえて首だけを横に向けてから目を細める。
何時ものようにニタニタと笑いながら、悪びれる様子もない修二。
「誰が拗ねるか、自惚れんな」
「ひでぇな〜。てっきり、何も言わずにチームに入ったり抗争起こしたりした事に怒って拗ねてんのかと思ったけど」
「拗ねるより、呆れた」
「ばはっ!素直じゃねぇな〜ホントは、拗ねてるし怒ってるクセに」
ゆったりとした足つきで近付いてきた修二は、右手に煙草を持ってそして左手で俺の頬を撫でる。
何時もと同じ…敵ならば直ぐに殴ったりするクセに、俺には優しく触れる。
頬を撫で、髪の毛に触れてから親指の腹で唇に触れたりと修二の手はゆっくりと動く。
そして相変わらずの胡散臭い笑みを浮かべた。
「和泉、芭流覇羅に来いよ」