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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第3章 8・3抗争


元気だなぁと思いながら、ニコニコと笑っている佐野先輩を見て少しホッとする。
あの夜1人で泣いていた佐野先輩を見てから、この人は何時も1人で泣いてるんだろうなと確信した。


(人前では泣けないのかな…)


強がりなのかもしれないな…と考えながら、目の前に座る佐野先輩を見ていればまた足音が聞こえた。
そしてカーテンを開けたのはけーすけ君と三ツ谷先輩。


「お、場地と三ツ谷」

「よぉ。和泉もいたんだな」

「うん」

「今日は千冬は連れてねぇんだな」

「別に何時も何時もアイツ連れてる訳じゃねぇよ。というか勝手に着いてくんだよ」


はぁ…と大きく溜息をつくけーすけくんに、龍宮寺先輩と佐野先輩は笑っていた。
確か『千冬』というのは、初めて東京卍會の集会に行った時にけーすけくんに紹介された『松野』の下の名前だったはず。


「よ、和泉」

「どうも…」


三ツ谷先輩に声をかけられたが思わずそっぽを向く。
すると龍宮寺先輩は苦笑を浮かべ、佐野先輩とけーすけくんはキョトン。
そっぽを向いているので三ツ谷先輩はどんな表情をしているかは分からない。


「三ツ谷ぁ、お前和泉に何したんだよ」

「…いや」


心当たりはあるはず。
無いとか言ったら…三ツ谷先輩じゃなきゃ殴っていた。
そう思っていると佐野先輩が1回咳払いをする。


「そういえばさ、イズミっちに聞きたい事あるんだった」

「俺にですか?」

「うん。イズミっちさ、芭流覇羅って知ってる?」

「ばるはら…?いえ、知らないですけど…」


聞き覚えのない名前。
名前からして何処かのチームなのだろうか…それとも違うなんかの名前だろうか。

首を捻りながら考えていれば、佐野先輩は少し無表情に近い顔をになっていた。
何かを考えているような。


「この間、半間修二が言ってたんだ。もうすぐ関東最凶の暴走族連合が誕生する。それが“芭流覇羅”」

「関東最凶だぁ?」

「それで、芭流覇羅初代副総長は半間修二。で最後にこの先東卍に平和はねぇってよ。イズミっちはなんか知ってる?」

「……いえ、何も。……修二、そんな事言ってたんですね」


俺は何も知らない。
何も教えられていなかった…修二が愛美愛主側の人間だったのも、芭流覇羅というチームの副総長というのも何も知らなかった。
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