The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第1章 泣き虫ヒーロー誕生
ー翌朝ー
「あー“学校”ってつらーい、朝がつらい。8時って早すぎるだろ!夜型人間のオレだよ?」
「お前なぁ…。不健康体そのものじゃねぇか」
「仕方ねぇだろ…。向こうではそういう生活してたし」
翌朝俺はネッカフェから出ると早朝で家に帰り、シャワーを浴びてから学校に登校していた。
だが12年後の武道は夜型人間なのでこの時間帯の登校はキツいらしい。
12年後どんな生活してるんだよ。
そう思いながら溜息を零しながら、未だに開かない武道の目を見ていた。
「おはよ!タケミチ君、和泉君!!」
「ヒナ!」
「橘…おはよ」
鈴を転がしたような可愛らしい声。
その声が聞こえて武道と振り向けば、花が綻ぶような太陽のように温かい笑みを浮かべる橘の姿があった。
「偉い偉い!ちゃんと朝が登校してるね!和泉君みたいにちゃんと毎日朝から登校しなきゃ駄目だよ?」
「まぁ俺もサボる時はさぼるけど…」
ニコニコと微笑む橘は武道の隣で歩き出す。
そんな彼女を見ながら、橘も12年後は死んでいるんだよなと武道の話を思い出した。
12年後の犯罪組織である東京卍會と違う犯罪組織の抗争に巻き込まれて、トラックに突っ込まれて一緒に。
俺が助けようとしたのはやっぱり武道の彼女だからだろう。
(武道と付き合い出してから、橘も俺の守るべき存在になったからな……)
大切な人の大切な人。
ならばその人も守るべき存在だ…そう考えているから、俺は12年後も彼女を助けようとしたのだろう。
「今日学校終わったら塾なんだー」
「へ…へー」
「橘、塾続けてるんだったな。偉いなぁ」
「そんな事ないよ!でも和泉君、塾辞めたのにずっと成績学年の1位なんだから凄いよ!!」
ちなみにだ。
俺と橘は小学生の時に同じ塾に通っていて、たまに話をしていた。
まさか武道の恋人になるとは予想はしてなかったけど。
「そういえば…ヒナと和泉は前から面識あるのか」
「そうだよ!あ、ねぇ塾までデートしようよ」
「う…うん」
「あーあ。ヒナ、タケミチ君と和泉君も同じクラスがよかった」
会話を聞きながら武道を見てみると、鼻の下伸ばして緩んだ顔をしていた。
そんな顔を見た俺はスクールバッグで武道の頭を叩けば、猿のように『キーキー』と怒り出す。