The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
ー和泉sideー
その後おじいさんの言う通り、佐野先輩は起きてきて朝食が始まる。
三ツ谷先輩の家とはまた違う賑やかさで、明るく暖かい空気感。
鳴ねぇはここに住んでいた。
というよりも俺がここに住まわせていたと言った方が正しいが……こうやって暖かい空気を味わっていたのだろう。
(その暖かいものを俺が壊した……)
後悔の念が押し寄せてくる度に、心の中で何かドロドロしたものが蠢く。
気持ち悪さを抑え込むように味噌汁を飲み干し、和気あいあいとした朝食は終わった。
「なぁ、エマ」
朝食が終わり、居間でボーとしていれば隣に座っていた龍宮寺先輩がエマに声をかけていた。
声をかけられて名前を呼ばれると嬉しいのか、エマの瞳がキラキラと輝いている。
「あー…その、今日夏祭り行かねぇ?」
「夏祭り……」
「武蔵祭りに。予定あるならアレだけど」
「な、ない!ないよ!!」
「…そうか。じゃあ、一緒に行こうぜ」
お互い嬉しそうな顔をして…。
好きという感情と愛しいという感情が溢れた表情を、隠さずに見せているのを見て『早く告白しろよ』という気持ちがでかくなる。
そこまでそんな感情見せてるなら、さっさと告白して付き合えばいいのに。
もしかして2人とも自分達がどんな顔しているのか、気付いてないのかもしれない。
(ま、本人達のペースが1番か…)
他人が慌てさせてもいけない。
なんて思いながら、2人を眺めている時であった。
携帯が着信音をその場の空気を変えるように流れ始めたのは。
「イズミっちのケータイ、鳴ってんぞ」
「すみません…誰だ……?」
朝から誰が電話を…。
修二は多分違うな、と思い携帯を開けばそこには『三ツ谷先輩』という文字。
「三ツ谷先輩…」
「え、和泉。三ツ谷から電話来たの?」
「っ……その顔辞めろ、エマ」
三ツ谷先輩からの着信と知った瞬間、エマはニマニマとしながら近付いてきた。
昨日の俺が気付いた感情を唯一知っているから、そんな顔をするのだろう。
溜息をしながら電話に出ると、エマまで引っ付いてくる。
「もしもし…?」
『あ、和泉。はよ、ごめんな?急に電話かけちまって』
「いえ、それは全然大丈夫ですが…」
『そっか。じゃあ…和泉、今日の夜予定空いてるか?』