The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
言葉を濁す事に対し、違和感を感じながらもエマは朝食の準備を進める。
昔からの癖である…何か隠し事をする事時は言葉を濁して、これ以上追求するなと目で伝えてくるのは。
幼馴染なのだから何でも話してくれたら良いのに…エマは少し歯がゆい気分になりながらさえばしを動かした。
昔から何も言ってくれない事に悔しくなりながら。
「お、いい匂い」
「ドラケン!そろそろマイキー起こしてきて!」
「おー…アイツ起きるか…?」
「叩き起こせばいい」
すると廊下から、マイキーとエマの祖父である万作がゆったりとした足つきで歩いてきた。
目を細くしながら、ダイニングテーブルの椅子に座ってから一息。
「和泉くんがいる。そう言えば直ぐに起きるだろ」
「……なるほど。じゃあ、起こしてくるっス」
「あの……なんで俺の名前を言うと起きるんですか?」
その言葉にドラケンの動きがピタリと止まり、万作は優雅に茶を飲むのを少し止めてからまた何事も無かったように飲み始める。
何故和泉の名を言えば良いのか…。
それはマイキーは和泉をかなり気に入っており、万作はその事を直ぐに見抜いていた。
気に入った人間がいれば起きるだろう…そう考えて、ドラケンに伝えたのである。
「イズミっちの事、気に入ってるからだよ」
「…はぁ?」
(イズミっちヤツあんま理解してねぇ。自分がどれだけマイキーに気に入られてるのか分かってねぇんだな……)
しかもただの気に入っているという感じては無い。
何かしらの執着心をドラケンは感じており、マイキーが和泉に対して普通の感情を抱いてない事は直ぐに気が付いていた。
それと和泉の名を言えば良いというのは、気に入った子がいれば朝からテンションは上がるだろう。
万作とドラケンはそう思っていたが…当の和泉は理解出来てない様子。
「まぁ、取り敢えず起こしてくるわ」
「……行ってらっしゃい??」
未だに理解出来てない和泉は首を捻る。
気に入った人間がいると起きるとは何故だろうか…と考え込みながら。
(気に入った人間がいるから…なんて曖昧な理由で、寝起き悪そうな佐野先輩が起きるのかな……)
なんて思いながら、万作に促されてダイニングテーブルの椅子にゆっくりと腰をかけた。