The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
電話出る前に部屋を出なければ。
エマが起きないようにと、和泉は慌てながらだが足音を小さくしながら部屋を飛び出すように出た。
廊下を走ればまだ早朝な為足音が響いてしまう。
広い廊下と薄暗い明かり。
自宅だと薄気味悪く感じるのだが、何故か佐野家はそう感じないのが不思議だと思いながら庭に出ればまるで待っていましたと言わんばかりに着信音が響いた。
「もしもし」
『よぉ和泉。すげぇメールの数だったなぁ』
「っ…お前が大事な話をせずに電話を切るからだろっ!!」
『もしかして怒ってんの?可愛いな〜』
「お前、巫山戯るのも大概にしろよ」
和泉の声に苛立ちが混じったのを感じたのか、半間は少し黙る。
ここで更に期限を損ねたら後が怖い…そう思いながら黙っていれば和泉の深い深い溜息が聞こえた。
「お前がが言ってた、武蔵神社の駐車場に近づくなって…あれどういう意味だ…」
『危険だからだ。それしか言えねぇなぁ?』
「……俺には隠し事しないんじゃなかったのかよ」
声が震えていた。
子供が泣くのを我慢するかのような、そんな震えた声に半間は少し唇を噛み締める。
確かに彼女には隠し事はしない。
そう約束していたが、今回は言えない事情というものがあり半間は溜息をついた。
『悪ぃな〜和泉。言えねぇんだわ』
「っ修二……」
『もう1回言っておくな〜?武蔵神社の駐車場には近づくな。じゃあな和泉』
「待て!!修二!!」
呼び止めるも、半間は電話を切った。
電話が切れた機械音だけが、聞こえてきて和泉は唇を噛み締めながら眉間に皺を寄せる。
そんな時であった…廊下の方から足音が聞こえたのは。
「イズミっち、早いは…。どうした?」
「っ!?……あ、龍宮寺先輩…」
「よぉ。はよ」
「……おはようございます」
廊下に立っていたのはドラケン。
欠伸をしながら、何時もの辮髪ではなく髪の毛を下ろしており雰囲気が変わるなと和泉は眺めながらも電話を畳んで握りしめた。
「誰かと電話してたのか?途中、大きい声してたけど」
「ちょっと、揉めただけですけど…大丈夫です。すみません、大きな声だしてしまい」
「……いや、別に大丈夫だけど。お前、すげぇ眉間に皺が寄ってんぞ」