The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
あの頃が懐かしい。
よくデリカシーのない発言をしては、真一郎くんは鳴ねぇに殴り飛ばされて正座していた。
喧嘩は鳴ねぇの方が強かったかし、口喧嘩も真一郎くんが何倍も弱い。
「ホント最低!和泉、もうマイキーの事放置して寝よ!」
「あ、うん。じゃあ…おやすみなさい。佐野先輩に龍宮寺先輩」
「おー、おやすみ」
「おやすみぃ」
怒られた事を根に持っているのか、佐野先輩は頬を膨らませながら返事をしてきた。
その拗ねようはやはり1つ年上であり、あの東卍をまとめている総長とは思えない。
まぁ、そんな事を言えばさらに拗ねそうなので決して口に出すことはしない。
だがその内うっかりと口を滑らしそうだから、気をつけなければなと思いながらエマの後ろについて行った。
「ここがウチの部屋!」
「お邪魔します」
「どーぞ!」
部屋の前で立ち止まったエマは、さっきと打って変わって上機嫌そうに笑いながら部屋の扉を開けた。
中に入らせてもらうと、部屋はいかにも女の子らしいという可愛らしくエマらしい部屋。
「ベッド、狭いけど引っ付いて寝ればなんとかなるかな!クーラーついてるから、そんな暑くないと思うけど」
「ん、充分涼しいから平気」
「なら良かった!ほら、こっちこっち」
「エマ、上機嫌だな」
「当たり前じゃん!和泉と一緒に寝れるんだから」
そう言いながらエマは俺の手を引き、ベッドに乗らせるとニコニコしながらクッションを抱えた。
そんな彼女を見ながら、俺は荷物をベッドのすぐ下に置いてから一息つく。
「ホントごめんね、和泉」
「何が?」
「マイキー!デリカシー無くて」
「気にしてないから平気」
「そう…?もう!ドラケンはデリカシーあるのになぁ…なんでマイキーはああなんだろう」
「エマってさ、龍宮寺先輩の事好きなんだろ?」
エマの『ドラケンなら』という言葉に、少し違う感情が篭っている事を感じた俺はそう聞いてみる。
するとエマは、どんどん顔を真っ赤にさせていき瞳を見開かせていた。
噴火しそうな茹でタコ。
なんて思っていれば、エマはクッションを更に抱え込んでから口をパクパクと動かした。
「な、な、…ななな、なんでっ!」
「佐野先輩から聞いた。お前が、龍宮寺先輩の事好きってこと。まぁ態度からして分かったけど」