The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
飛び出しそうな俺を、千堂とタクヤが羽交い締めのようにして止めていた。
すると龍宮寺先輩と武道を見ていた佐野先輩が、歩き出しており全員がそっちへと目線を投げる。
「佐野先輩……?」
どうしたのだろう。
そう思っていた瞬間、佐野先輩は停めてあった武道の自転車を持ち上げたのだ。
「マイキー君!?それはオレの愛車の疾風号!!!」
武道の叫び声なんて無視して、佐野先輩は疾風号を思いっきり龍宮寺先輩へと向けて投げつけた。
だがヒョイと避けられて、疾風号は壁にぶつかり『ガシャーン』という音を立てて崩壊。
タイヤは外れて部品も砕けた。
アレ、直せるのかな…なんて呑気に考えていると武道の叫び声が響き渡る。
「あ"ああ"ああぁ!!!」
「あーあー…」
「オレの思い出があああ!!」
悲痛な武道の叫び声が響き渡る。
その叫び声に、思わず怒りが静まってしまい完全に一触即発状態……いや戦闘態勢の佐野先輩と龍宮寺先輩を見た。
「テメェ正気か!?」
青筋を浮かべた龍宮寺先輩は、近くにあったバットを手にしながら狂気的な笑みを浮かべていた。
そしてバットを手にした龍宮寺先輩を見た武道は、ギョッとした顔をする。
「ドラケン君!?それは小4の時初めてホームラン打ったゴールデンバット!!」
「やるならトコトンだぁ」
バキッとゴールデンバットは真っ二つ。
直ぐに武道の悲鳴が響き渡り、ご近所さんは恐らく何事だと思っているんだろう。
そして物の投げ合いが、始まった。
2人は手当り次第、近くにあった物を投げ始めて壊れる音と武道の悲鳴が響き渡る。
「マイキー君!それはオヤジと和泉と初めて祭りに行った時の!」
「ドラケン君!?それはオレが小遣いで買ったスケボー!!」
「それは和泉から誕生日プレゼントで貰ったやつー!!!」
「あああ!!!」
「いや…なんでそんなもんがまだ残ってるだよ」
「アイツ、思い出の物捨てられないもんな」
叫び声を聞いていた俺達は、半分呆れたように笑いながら武道を見ていた。
何せ先程から『それまだいるか?』という物ばかりなのだから。
まぁこの際壊れたからと廃棄するので片付くだろう。
だが…俺があげた物や一緒にいった時に買った物が残ってて手元にあったのは嬉しく思ってしまった事は事実である。