The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
ー数日後ー
夏休み真っ只中。
宿題は取り敢えず殆ど終わらせて、暇という事もあり本屋に行ったりブラブラしていた。
だが夏真っ盛りのせいで暑く、長くはフラフラできないと判断して家へ帰るための帰路を歩いていた。
近くには蝉の鳴く声と時折子供のはしゃぐ声がする。
「あれ?イズミっちじゃん」
そんな蝉の声と子供のはしゃぐ声の中で、最近聞き慣れた声が聞こえて反射的に後ろを振り向く。
そして声の主を見つけた俺は目をゆっくりと見開かせた。
「佐野、先輩っ…!?」
「イズミっち、久しぶりじゃん」
「お久しぶりです……。偶然ですね」
「だな」
後ろを振り付けばそこには甚平姿の佐野先輩の姿があった。
最後に会ったのは、龍宮寺先輩との喧嘩を止めた数日前だろうか…少し懐かしく思えた。
だが何故この人がここにいるのだろうかと驚いた。
今いる場所は、佐野先輩の家が近い訳ではなく俺と武道の家が近い場所。
「佐野先輩は、どこかに行かれるんですか?」
「ん、タケミっちの家に見舞いに行ってやろうと思ってさぁ。何だかんだ、オレ行ってなかったから」
「なるほど……」
「そーだ、イズミっち。一緒に行こう」
その行こうは拒否権のない行こうだな。
発せられた言葉を理解しながら、俺は断る事も出来ずに頷いてしまい佐野先輩と武道の家を目指して歩き出した。
「そういえばさ…ごめんな。イズミっち」
「はい?」
「この前、押し倒した事。イズミっち、自分で気付いてなかったぽいけどすげぇ目が脅えてたように見えたから」
ピクリと眉が動く。
表に出さないようにしていたが、まさか瞳がそんな脅えてた事を伝えていたとは思ってもいなかった。
成る可く顔には出さないようにしていた。
それにあの時は自分自身は脅えていないと思っていたが、どうやら心はそうじゃなかったらしい。
「詳しく聞かねぇけど、ごめんな…。怖がらせて」
「……いえ」
「そういえば、タケミっちと幼馴染って事は家は隣同士とか?」
「いえ、隣同士ではないですけど直ぐそこの近所なんです。歩いて数分もかからない距離で」
「へー。なぁ、タケミっちて小さい頃からああなの?」
「……ああ、とは?」
「んー?人の為に無鉄砲になる所みたいな?」
「そうですね。アイツは、昔からああいう性格ですよ」