The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
あの神澤鳴海の従姉妹であり、風の噂では歌舞伎町では『血染めの鬼』なんて呼ばれていたと。
喧嘩は鳴海と同じかはたまたその上を行くかと言われており、だがどのチームにも所属していない。
「小さい手で、喧嘩してんだな」
「……そんな、頻繁にしてる訳じゃないですよ」
「和泉、くだらない喧嘩はしなさそうだよな」
三ツ谷の言葉に和泉は小さく俯く。
何せ、くださらない喧嘩をした事は多々あるし褒められないような喧嘩もした事はある。
すると三ツ谷は和泉の顔を覗き込んだ。
急に現れた彼の顔に驚いた和泉は、少し後ろに下がりながらも三ツ谷のシルバーパープルの瞳に間抜けに映る自身の姿に何とも言えない表情になった。
「和泉?またボーとしてたけど本当に大丈夫か?」
「あ……大丈夫ですよ」
「本当にか?夏バテでもしてるのか…」
「いえ…考え事してただけです。今日はちょっと、考え込むが多いみたいです……」
心配をかけまいと、和泉は作り笑顔を浮かべる。
何時もの彼女が貼り付けている笑みに、三ツ谷は少しだけ眉間に皺を寄せた。
「三ツ谷先輩?」
「夏バテしてないら良いけど。あんまりボーとするのは良くねぇよ?周りの音、聞こてないみてぇだから」
「はい。気をつけますね」
また貼り付けた笑み。
中々彼女は、本当の笑みを見せないな…と思いながら三ツ谷は和泉の手を少し、痛くないぐらいの力を込めて握る。
出会ってまだ間もない。
だがふと見せる笑顔が綺麗だと思い、また見たいというのに中々見れないもの。
(笑っていても、貼り付けているような笑顔と笑っていない瞳……。まるで人形みたいだな)
綺麗な人形。
貼り付けた笑みを浮かべている彼女は、まるで飾られた綺麗な人形に三ツ谷は思えてしまった。
「あ、そうだ和泉。一旦オレん家行かねぇと…服、オレん家に置きっぱなしだろ」
「あ……そうでした」
「て事で、一旦オレん家行ってから送っていくな」
「ありがとうございます…。あのまさか…三ツ谷先輩の家まで手を繋ぐんですか……?」
「そのつもりだけど…なんでだ?」
「いや…お母さんいたら……」
もし三ツ谷の母親がいて、見られたら恥ずかしい。
そういう事なのだろうと三ツ谷は直ぐに分かった。