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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第3章 8・3抗争


なら任せても良いか。
そう納得した和泉はエマをドラケンに託してから、歩いていく2人を見送った。
時折エマがドラケンの顔を見ては、嬉しげにでも何処か悲しげな表情をしているのが見える。


(送って貰うのが嬉しい半面、佐野先輩が喧嘩してるから罪悪感というよりも申し訳なさがある……て所だな)


なんて考えている和泉を三ツ谷は見ていた。
ファミレスを出る前に、ドラケンから『送ってやれよ』と言われ感謝したものだ。


「和泉、オレらも帰るか。家まで送る」

「あ…いや……」

「ん?」


これはドラケンから聞いていた。
家の前まで送られるのは嫌がり、近くまでで良いと言われたと。
恐らくなにか理由があるのだろうと思っていたが、三ツ谷は眉間に皺が寄った。


(やっぱ嫌がられるか…。何の理由があるんだろ)


首を捻りながらも、和泉の手を取るとバッと顔を勢いよく上げた。
驚きと戸惑いが瞳で渦巻いており、微笑みを浮かべながら手を握り直せばほんのり頬が桃色に色付いていく。


「嫌なら、家の近くまで……。な?」

「……近くまでなら」

「ん、じゃあ行こうぜ」

「あ、あの…手……」


繋がられたまま歩きだす三ツ谷に、和泉はだいぶ困惑しながら歩く。
握られた手は熱いがやはり、気持ち悪いという感覚は無いのだ。


「握ったままでも良いだろ?」

「周りから見たら男同士が手、握ってるように見えますよ」


周りは同性同士が親しげに手を繋いでる事を『異物』を見るような目をする。
そしてありもしない尾ひれがついた噂を流すのが好き…そして三ツ谷に要らない噂がまとわりつく。

それは駄目だ。
お世話になっている先輩でもある人に、そんな事になってほしくないと和泉はウィッグを外した。


「良いのか?ウィッグ外して」

「家、近くなったら付ければ良いですから…。親族なら、この時間帯は仕事場か家にいるだろうし」


もし見られたとしても、ウィッグが破損した。
なんて言い訳をしていれば良いだろう…そう考えながらも和泉の意識は三ツ谷に繋がれている手へと向いてしまう。


「和泉の手、小さいな」

「え?」


和泉は噂のある人物であった。
あの伝説の暴走族・朱雀の初代総長である神澤鳴海の従姉妹として。
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