The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
また三ツ谷先輩に眉間を押された。
痛くもないが、押された場所を指で触れてからそんなに眉間に皺が寄っていたのかと考える。
「ほら、入ろうぜ」
「ほんとに和泉、体調悪いわけじゃないんだよね?」
「ん、大丈夫…」
体調は大丈夫。
ただ、あの男のあの目が気持ち悪かっただけ…そう思いながらファミレスへと入っていった。
本当にあの目は何かを企んでいるような、何かドロドロしたような感情が含まれた瞳。
でもあの男、何で見覚えがあるのだろうか。
何処かで会ったことあるのだろうか……でも記憶に無くて、モヤモヤする。
「和泉ったら!!」
「っ!」
「ほんとに大丈夫…?ずっと呼んでるのに……」
「おいおい…イズミっち大丈夫か?」
「あ、……」
また俺、考えすぎて周りの声が聞こえて無かったのか。
隣を見ればエマがとてつもなく心配しそうな表情をしていて、目の前にいる三ツ谷先輩と龍宮寺先輩も心配そうにしていた。
「大丈夫、です…。すみません…」
そう言うと大きく溜息をつかれた。
ファミレスに入ってテーブル席のソファに座ったまでは覚えている。
だが何を話しかけられたかは全く覚えていない。
「ねぇ、和泉どうしたの?」
「……ちょっと、考え事してて集中してた」
「……ほんとに?」
「ほんと。ごめんな、心配かけて」
隣に座っているエマの頭を撫でてやるが、眉間に皺が寄ったままである。
多分誤魔化せてないだろうし、怒っているのはもう一目瞭然だ。
どうやってご機嫌を取ろうか。
そう思いながら苦笑を浮かべながら、今はあの男の事は考えないでおこうと決めた。
「エマ、ほら…何か頼もう」
「誤魔化すし…」
「ごめんって」
「まぁ、体調が悪いってわけじゃないなら良いけど……」
「すみません、心配かけて…」
なんとか笑顔で誤魔化しにかかりながら、メニューを手にしてエマの前に広げる。
そして喉の乾きを潤したいのと、エマの怒りの視線から逃げる為にお冷が入ったグラスを手にして水を飲む。
「何食うかなぁ」
「和泉、何食べる?」
「んー…?俺は煮込みハンバーグ」
どうやら少しは機嫌が戻ったようで、エマは何を食べようかとメニュー表と睨めっこを始めた。
その様子が可愛らしいくてつい笑みが零れた。