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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第1章 泣き虫ヒーロー誕生


何時もの所。
それはもう分かっているので携帯を閉じてから、騒いでいる山岸達の方を見る。
そして気難しそうな表情の武道も。


「悪ぃ、武道。用事出来たから行く」

「え!?あ、うん……」

「タクヤ。家帰る時コイツの手当ちゃんとしてやって」

「分かった」

「じゃあな」


本当は佐野万次郎と出会ったからこれからどうするか…その話を武道としたかったが自由奔放か奴からの電話のせいで無理なので苛立つ。

そして苛立ちながらも、歌舞伎町に行けば相変わらずの人。
親子連れもいればカップルもいて…カップルじゃない男女もいたりだ。


(ここは相変わらずだな)


ネオン煌めく街。
そんな街を歩きながら、指定された『何時もの所』に到着した。
その場所はファミレスであり、俺は店の中に入っていくとグルッと店内を見渡す。


「……いた」


とある席の周りだけ人がおらず、ユラユラと白い煙が見えており金色のピアスが揺れている。
そして両手の甲に『罪と罰』の刺青がある男。


「オマエ、そろそろ肺が真っ黒になって死ぬんじゃねぇの?」

「ばはっ!酷ぇなあ〜和泉」

「オマエのその煙草の匂いの方が酷いぞ、修二」


ニタァと笑うのは半間修二。
コイツは俺が1歳から4歳の時まで違う家で生活していた時に、隣の家に住んでいた幼馴染なのだ。

1歳から4歳の3年間、俺は父親の妹…つまり叔母である由良と従姉妹達と生活していた。
そして幼馴染である修二とはまるで兄妹のように生活していたのである。


「なんか食べたか?」

「食べてない」

「んじゃ、奢ってやるから何でも頼めよ」

「またセフレから金を貢いで貰ったのか?‪‪まぁ遠慮なく頼ませてもらうけど」

「セフレではねぇけどなぁ」

「体だけの関係ならセフレだろ」


修二は数人セフレがいると聞く。
たまに一緒に歩いていれば、まぁコロコロと年齢が違う女の人達が駆け寄ってきては『夜どう?』なんて聞いている場面を何回も見てきたし聞いてきた。


「なんか不機嫌そうだなぁ〜」

「誰かさんが最近連絡寄越さないと思ってたら、一方的に電話してきて一方的に切ったからな。誰でも不機嫌にはなるだろうが、この罪と罰男」


勢いよく目の前に座っている修二の脛を蹴れば、『いってぇ!』とその馬鹿みたいに高い身長である背中を丸めて脛を摩っていた。
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