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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第3章 8・3抗争


店に入れば、女性店員が頭を下げてからそう言った。
用意という事は服は予め用意していたという事なのだろうな…と思いながら九井の方へと視線を向ける。


「着替えてこいよ、和泉」

「予め用意してたのかよ…。逃がす気は無かったんだな」

「当たり前だろ♪」

「お前のそういう所、マジで嫌い」


早めに迎えに来ていたり、予め服を用意していたり俺を逃がす気もないのは一目瞭然。
そこまでして飯を一緒に食いたいのだろうか。

いや違う。
どうせまた黒龍の勧誘か、仕事の手伝いをしてほしいからなのだろう。


(まぁ黒龍への勧誘が強いかな)


嫌になる。
そう思いながら試着室に行くと、店員がある服を持ってやって来てそれを見た瞬間ピキっと青筋が浮かんだ。


「すぅ……九井ぃぃぃ!!!!」

「ココ、やっぱり駄目だったな」

「やっぱり駄目だったか」


店員が持ってきたのは白いワンピース型のドレス。
直ぐにそれを着ることを拒絶すれば、白色のジャケットに黒のシルクのズボンを用意されてそれを着用してから青宗達の元に向かった。


「和泉、似合うぞ」

「どうも。取り敢えず九井は殴る」

「ひでぇな。絶対似合うと思ったのになぁ」

「誰が着るか。次やったら、二度とお前とは食事には行かねぇからな」


ジトッと睨めば九井は肩を竦めた。
そしていつの間にか金は払っていたようで、九井に借りが出来たことに溜息を零す。


「そういえば和泉は、ピッチリしたズボン履かねぇよな」

「ああ…。足が細く見えるから嫌なんだよ」

「そっか。男装してるから、足が細く見えたら駄目なんだよ」

「そういう事。だからちょっと余裕をもったズボンを選ぶんだよ」


あまり細く見えると、『女みたいに細い』なんて言われるのだ。
なのでズボンは余裕があるヤツを選ぶし、服もラインが見えないようなのを着用する。


「青宗もダボッとした服装が多いよな」

「着やすいし、動きやすいからな」

「ピンヒールは動きくにくいだろ…」

「慣れたら動きやすい。今度履いてみるか?」

「遠慮する。靴擦れしそうで嫌」


そんな話をしていれば、店に着いたのか車が止まった。
窓から外を覗けば、中華屋がありそこは確か最近できた高級店である。
テレビやら雑誌で特集され、騒がれていたのを思い出した。
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