The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
ダサい服着たり、独特な服を着ている奴は大体自分では気付かないものである。
いい例がここにいるし武道もその例に入る男だ。
(そういえば、財布に幾らあったかな…)
そう思いながらボディバックから財布を取り出して、枚数を数える。
5000円札が2枚に1万円札が3枚、そして小学の6年ぐらいに父さんに突然渡されたブラックカードが1枚。
中学生にしては持ち金額が多すぎる。
だが俺が家で食事をしないことや、家にいる事が嫌いなのを知っているのかやたら金を渡してくるのだ。
(父さんに小遣いらいっていってんのになぁ。家業手伝ってそこから配給されてるやつで十分なのに)
中学に入る前から、家業の仕事を手伝っていた。
所謂社長見習いとして仕事をしており、そこからの給料みたいな物が配給されていたのだがそれさえもかなり金額。
「財布は納めろよ」
「あ?」
「オレが払うんだよ」
「お前に借り作るの嫌いなんだけどな。後から、面倒くさい事に協力させられるから」
「ホント、可愛げのない」
九井はたまに俺の縦の繋がりと横の繋がりで、仕事を手伝って欲しいと頼んできた。
情報を売ったり、黒龍の力を売る為に俺に借りを作らせて。
(だけど協力させるだけ。コイツもかなりの縦の繋がりや横の繋がりを持ってるからな…)
金を作る天才と呼ばれる九井は、その力を利用しようとする奴らに付け狙われている。
そして俺もまた同じであり、九井とは似たもの同士だからどうも嫌いだけど見捨てられない所があるのだ。
「ここで止めろ」
「はい」
「さてと、買い物しようぜ。お姫様」
「誰がお姫様だ」
先に助っ席から降りていた九井は、後部座席の扉を開けてからそんな気持ち悪いセリフを吐いて手をさし伸ばしてした。
だが俺はその手を取らずに降りてからそっぽを向く。
「たく、もう少し可愛げがあった方がいいぜ?」
「可愛げを俺に求めるな」
「和泉は可愛いぞ」
「青宗……。お前は何が言いたいんだよ」
額に手を当てながら、青宗の言葉を溜息を零した。
そして店の中に入っていくのだが、この店は有名なブランドの店である。
「もう少し可愛げのある店を選べよ…」
「オレの贔屓の店なんだよ。品揃えも良いしな」
「はぁ……」
「いらっしゃいませ、九井様。ご用意は出来ております」