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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第3章 8・3抗争


「んじゃ、行くぞ。車出せ」

「はい」


この車は誰が所持してんだか…。
なんて思いながら流れる景色を車の窓から眺めながら、何度も何度も溜息を零した。


「安心しろー、食うのは懐石料理じゃねぇから。美味い中華屋を見つけたんだよ」

「それが不安で溜息ついてんじゃねぇんだよ」

「そんなにオレらと飯食うの嫌なのかよ」

「青宗はまだしも、お前が嫌いなんだよ」

「可愛くねぇなぁ」


青宗は昔からの付き合いであり、出会いは真一郎くんのバイク屋。
真一郎くんに紹介されてそして意気投合してから、仲良くなり今もこうして付き合いがある。

だが九井とはまだ2年ぐらいの付き合い。
まず金に対して執着する奴は嫌いだし、何となく九井は嫌いである。


「ココ、和泉はこれでもゴキブリが嫌いっていう可愛い所があるぞ」

「へぇ、そりゃ可愛いじゃん」

「青宗…」


なにシレっと人の弱点に近い事を言っているんだよ!と、青宗の足を思いっきり蹴る。
すると声を出さずに、青宗は蹲り蹴られた足を抑えていた。


「ココの言う通り、足癖が悪ぃ…」

「蹴られたのはお前が悪い。勝手に人の嫌いなモンを言うんじゃねぇよ」

「でもゴキブリが嫌いなのは事実だろ?そういう所、可愛いしオレは好きだ」

「イヌピー、しれっとそういう事言うよなぁ」

「お前は黙ってろ、九井」

「冷てぇなぁ」


クックックと喉を鳴らしながら笑う九井を、ジトリと睨んでからふと気がついた。
九井が先程運転手に言っていた住所と違う方向に車が進んでいる事を。


「お前、何処に行くつもりなんだよ」

「さっき言ってた中華屋がな、正装じゃなきゃダメなんだよ。だから服を買いに行こうと思ってな、和泉のを」

「……だから今日、青宗の格好がマトモなんだな」

「オレは、何時もまともな格好してるけど…?」


その言葉に少し九井と一緒に言葉を詰まらせた。
普段の青宗の格好は、ダボジャーにユルユルのジャージのズボンにどキツイピンク系の服装をしている。
つまりラフ過ぎる格好なのだ。

だが今は正装な服装。
これだったらドレスコードのある店なら入れるなという格好だし、恐らくこの服をコーディネートしたのは九井なのだろう。


「まぁ、イヌピーの格好は普段から独特だからなぁ」

「そこは同意見だな」

「そうか…?」
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