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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第3章 8・3抗争


「あのお二人は…」

「パーの両親だよ。パーの奴、ここにいるんだ」

「そうなんですね」

「ドラケンの奴な、毎日パーちんの親と一緒にここ来てるんだよ。親族しか会えねぇのに差し入れ持って面会中はずーっと外で1人で待ってんだ」

「ずっと…毎日」


マイキー派とドラケン派。
東京卍會が2つに分かれている今、中では林田先輩を助けようとしない龍宮寺先輩を冷たいと言っている奴がいる。

だがそうじゃない。
龍宮寺先輩は、林田先輩を気にかけているのだ…誰よりもこうして。


「ドラケンを冷たいて言ってる奴に、これ見せてやりてぇよ」

「ですね…。三ツ谷先輩も今日は来てたんですか?」

「偶然会ってな」


龍宮寺先輩と林田先輩のご両親は話を終えたようで、林田先輩のご両親は俺らを見ると頭を下げてきた。
それを見て慌てて頭を下げていれば、ご両親は歩いて行っていて後ろ姿が揺れている。


「はぁ、今日はあちぃな。イズミっち、顔真っ赤じゃねぇか」

「それは龍宮寺先輩と三ツ谷先輩もですからね…」

「ホントあちぃな。汗で服湿ってるわ」

「コンビニ行ってアイス買おうぜ」

「あ、じゃあ俺はここで失礼します」


暑いし帰ろう。
そう思って踵を返して歩こうとした時、襟を掴まれて足が浮きそうになった。


「イズミっちも行くぞー」

「え!?は!?」

「アイス、何買おうかなぁ」

「ちょ、俺行くとは行ってませんが!?」

「んな事言わずに付き合えよ」


半ば引き摺られながら、俺は三ツ谷先輩と龍宮寺先輩に連れられて逆方向を歩き出した。
だがまぁコンビニに行けばクーラーが効いていて涼しいので、多少なりの熱冷ましにはなるだろう。

それにまた武道の家に行きたいし、適当に歌詞でも買っていくかと思いながら大人しくついていく。
だがホント強引すぎではないだろうか。


「その辺、龍宮寺先輩と佐野先輩って似てる…」

「あ"?誰と誰が似てるって??」

「…やば、禁句だったわ」

「あー、アイス何食おうかなぁ」


喧嘩真っ最中の龍宮寺先輩の前で、佐野先輩の名前は禁句である。
三ツ谷先輩が話題を振ってくれたので、なんとか咎められる事はなかった。


「はぁ…あちぃな」

「夏真っ盛りだからなぁ」

「ですね…」


暑さのせいで会話も弾まない。
弾む前に、暑さで話す気力も無くなる。
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