The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
妹のように可愛がって愛する。
それが亡き鳴海との約束だった…だがマイキーはそれを忘れてしまっていた。
鳴海が死に、兄である真一郎も亡くなって。
荒れに荒れまくる事が立て続けに起きてしまい、その約束を忘れてしまったのだ。
「ごめん…鳴海。約束忘れてて」
グッと眉間に皺を寄せながら、あの時約束を交わした時の鳴海の笑顔が思い浮かぶ。
そして同時に自分を叱るように止めた和泉の姿も。
「でもアレじゃ…オレ兄貴じゃないな」
それに兄貴として和泉の傍にいたい。
何故か今のマイキーはそう思えなくて、兄妹として居たいと思えなくて。
「欲しい、イズミっちが。欲しい……三ツ谷にも誰にも渡したくない」
あの子が欲しい。
傍に置いておきたい、自分を変えてくれるであろうあの存在を手にしたい。
欲望が膨らむマイキーの瞳はまるで、獲物を欲している獣のような瞳だ。
和泉という少女を欲する獣。
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ー和泉sideー
夏休みに突入して、朝早く起きる必要が無くなり眠る時間が増えた事が嬉しい。
目覚ましもセットしなくていいし、ずっと昼まで寝れるから最高だ。
なんて思っていたのに。
耳元で先程からずっと着信音が響いており、気持ち良い眠りから強制的に醒めさせられた。
「誰だよっ…!!」
相手によっては殴ってやる。
そう思いながら、枕元に置いておいた携帯を手繰り寄せてからディスプレイを見れば…。
「八戒…?………もしもし?」
『和泉ヘルプ!!!!!』
「うっさっ!…はぁ?」
『助けて!!』
「いや、何を助けろと?」
電話から聞こえてくる八戒の叫び声。
そして電話の向こうから聞こえてくる、違う誰かの叫び声も聞こえてくる。
起き上がり、ベッドに腰をかけながら取り敢えず八戒を落ち着かせてから話を聞くか。
そう思いながら溜息を零した。
「何があったんだよ」
『マイキー君とドラケン君が、また話し合いしようと集まったんだけど……また喧嘩になってさぁ!!オレらじゃ止められないから、タカちゃん達が和泉呼べって!!昨日止めたから!!』
「俺、何もしてないんだけど……」
気が遠くなりそうだ。
何でまた喧嘩してるんだよと思いながら、俺は着替えてから2人が喧嘩しているその場へと向かった。