The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
今にも殴り合いをしそうな2人を止めているのは、八戒とけーすけ君が紹介してくれた松野ていう男。
そして三途さんが後から止めようとしているのだが、あとの人間は顔を青ざめさせて遠巻きに見ている。
(止めに入るのは、流石に怖いって感じか…)
まぁ当たり前だ。
俺も止めて巻き込まれたくないから、間に入ったりはしたくない。
「おいおい。マイキーとドラケンの怒号聞こえてくんなと思ったら…アイツら何やってんだよ」
「ああ?ケンカしてんのか?」
「うわぁ、マジかよ」
声が聞こえたかと思えば、階段を登ってくるけーすけくん達の姿があった。
そして他の隊長達もやって来ており、隊員達がホッ…と息をつく声が聞こえてくる。
武藤先輩は『何してんだよ』と舌打ちをすると、直ぐに佐野先輩達の元に向かった。
そして佐野先輩達の方へと視線を向ければ、三ツ谷先輩も必死に止めようとしている。
「まさかこんな事になるなんてな…」
「どうしよう和泉……」
「……大丈夫と思う。他の隊長達が来たから殴り合いになっても止めれそう……止めれるかな……」
あの2人を隊長全員で止めれるのか。
そう思いながら見ていれば、佐野先輩を止めようとしていた三途さんが此方に歩いてきた。
「悪いけど、あの2人を止めるの手伝ってくれないか」
「わ、分かった!マイキー!!ドラケン辞めなさいよ!!」
「はぁ…これ止めれるのかぁ?」
取り敢えず佐野先輩を止める事にした。
何せ佐野先輩の所にいるのは、八戒とかけーすけ君でありあとは避けている気がする。
そう思いながら佐野先輩の背後に周り、今にも龍宮寺先輩に噛みつきそうだなと溜息を零す。
そして彼の肩を掴んだ。
「いい加減にしてください!佐野先輩!!」
「っ!?」
すると佐野先輩が目を見開かせて振り向いてきた。
真っ黒な黒曜石のような瞳は、まるで猫のように縦長になっている。
「……イズミっちっ…?」
「そうですけど」
「………ごめん、帰る」
「え!?」
縦長になっていた瞳は、元の丸い瞳へと変わっていき突如そう呟くと歩いていってしまった。
何故急に落ち着いたのだろうと思いながらも、その場の全員も驚いているようで目を見開かせている。
「すげぇ和泉。マイキー君を落ち着かせた」
「いや、俺ただ声掛けただけだ」