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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第3章 8・3抗争


机に並べられた、明るい色のオレンジのゼリー。
渡されたスプーンで1口サイズにしてから、口に含むと爽やかでサッパリしたオレンジの味が広がる。


「……おいしい」

「そっか。口に合ったみたいで良かった」

「……三ツ谷先輩」

「ん?」

「俺に大丈夫かって聞いてましたけど、三ツ谷先輩は……大丈夫ですか?その、林田力の事で」


林田先輩が捕まったのだ。
しかも長内をナイフで刺したという事は、殺人未遂も含まれている事になる。

少年院行きが決まっただろうし、この騒動で恐らく東卍は大きく荒れるだろう。
だけどもっと荒れるのは幹部メンバーだろう…そして三ツ谷先輩も。


「…どうだろうな。何て言ったらいいか分かんねぇ…」

「……三ツ谷先輩」


気が付けば俺は三ツ谷先輩へと手を伸ばしており、その頬を撫でていた。
完全に無意識であって、直ぐに手を離そうとしたがその動きは止められる。

スリッ……と三ツ谷先輩が俺の手のひらに頬を擦り寄せたから。
瞼を閉じてから擦り寄ってきたかと思えば、少しだけ瞳を開けて微笑んでくる。


「和泉の手、冷たくて気持ちいいがいいな」


そっ…と俺の手を掴む三ツ谷先輩の手は熱い。
それに俺の頬がじわっと熱くなっているのが分かり、直ぐに顔を下に向けた。


「和泉?どうした…?」

「な、んでもないですっ」

「そっか」


何故あの時俺は手を伸ばして触れてしまったのだろうか。
ただ三ツ谷先輩のシルバーパープルの瞳が、悲しげに揺れているなと感じたのは分かっていた。

熱い…熱い……。
頬が熱いと感じながらも、俺の手に触れていた三ツ谷先輩の手が離れたのですぐに引っ込めた。


「……でも、今回の緊急集会は荒れるだろうよ」

「……そうですよね」

「和泉も来るか?」

「……緊急集会なのに、良いんですか?俺まだ東卍に入っているわけじゃないし……部外者なのに」

「部外者って訳でもないだろ?大丈夫だ」


ほんとに大丈夫だろうか。
それに何故か胸騒ぎがするような、嫌な予感がするような…そう思いながら俺は眉間に皺を寄せた。


(こういう時の嫌な予感って、結構当たるんだよな…)


林田先輩が捕まるという嫌な自体が起きている。
それなのに更に嫌な事が起きるなんて、もう最悪としか言いようがないからな。
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