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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第3章 8・3抗争


優しく頭を撫でるその手は、和泉の叔母の手の温もりによく似ていた。
そして撫でられた後はまた武道の頬を撫でてから、病室を後にして三ツ谷の元へと向かう。

三ツ谷は廊下で待っており、和泉の姿が見えると申し訳なさそうなそんなはにかんだ笑みを浮かべていた。
そして和泉の手を取る。


「単車で来てるから、それ乗っていこう」

「…はい」

「……よし、行こう」


2人は廊下を歩いていき、そして病院の駐輪場にたどり着くと三ツ谷がヘルメットを和泉に渡す。
それを静かに受け取りながら和泉は、エンジンをかけようとしている三ツ谷へと視線をやった。


(そういえば、三ツ谷先輩って必ず俺にヘルメット渡すよな…。修二とか青宗のタンデムに乗る時は、ヘルメットしないから不思議な気分……)


慣れない事をされるとむず痒い。
そう和泉が思っていると、エンジンがかかる音がして三ツ谷が跨がっており此方へと向いていた。


「大丈夫か?」

「…はい。後ろ、失礼します」

「おう」


バイクの排気音が響き、三ツ谷の運転するインパルスが動き出した。
タンデムに乗っている和泉を配慮して、安全運転を心掛けている三ツ谷はふと自分の腰に遠慮がちに回っている腕へと思考を持っていく。

そして赤信号なったのを見て、バイクを止めると自身の手をハンドルから和泉の手へと持っていき優しく握る。
すると驚いたのか和泉の体が跳ねたのが分かり、思わず笑ったが……。


(もう夏っていうのに、冷てえ……)


冷えた手はまるで氷に近い。
その冷えてしまっている手に、自分の温もりを少しでも分けれるようにと三ツ谷は和泉の手を握る力を少しだけ強めた。


「帰ったら、ゼリー食わねぇ?」

「……え?」

「オレンジゼリー、作ったんだ。ルナマナのおやつにって思ってな。それ、食べよう」

「はい…」

「昼飯は何が良いかな…。まだ食ってねぇ?」

「食べて、ません」

「ん、なら戻ったら作るな」


そして三ツ谷宅に到着して、三ツ谷は家の鍵を開けると突如
和泉の手を取ると歩き出した。
まさかの行動に和泉は目を白黒させていれば、三ツ谷は自身の自室に入ると突然抱きしめてきたのだ。


「み、つ…や先輩っ…?」
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