The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
ー翌朝ー
ピピピッと機械音の目覚ましアラームが鳴る。
その音に意識が浮上していき顔を顰めながら、目を瞑ったまま携帯が何処にあるかと探る。
カチャッと爪が携帯に当たり、直ぐに引き寄せるとアラーム音を消した。
平日なのにアラームをかけてしまったのは失敗である。
「まだ寝よう…」
昼前に起きれば良いか。
そう思いまた眠りにつく…休日はいつも昼まで寝ているのだから。
暫くそうして眠っている時であった。
妬ましく携帯が着信音を鳴らしており、その音にイラッとくる。
「誰だよ……」
寝ぼけた目を擦りながら、携帯を見てみれば龍宮寺先輩からの着信音だった。
一体何の用事だろうと思いながらも一応出てみる。
「もしもし」
『イズミっち!!タケミっちが、病院に運ばれた!!』
「…………は?」
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ー三人称ー
消毒液の匂いと少し鼻につく別の匂い。
真っ白な清潔な病院のベッドで、顔にあちこち怪我をして眠っているかのように意識がない武道が横たわっていた。
そして彼の横には眉を下げた母親がいる。
そんな2人を申し訳ない表情で見ているのは、マイキーとドラケン。
2人とも眉を下げており、気まずい雰囲気が流れていると廊下で看護師の声と走る足音が聞こえてきた。
「病院内では走らないでください!!」
「すみません…!!」
切羽詰まったようにも聞こえる謝罪の声。
だが走る足音は聞こえていると思うと、勢いよく病室の扉が開いた。
「っ…おばさんっ…!!」
「和泉ちゃん…」
病室に入ってきたのは、汗だくになり息を切らしている和泉であった。
ドラケンからの連絡を聞いて直ぐに、着替えてから家を飛び出してきたのだ。
荒く息をしている和泉は、マイキー達を鋭い目付きで見てから直ぐにベッドに駆け寄る。
そして武道を見てから母親へとし線をやった。
「大丈夫よ。だた意識を失ってるだけで、命の別状はないわ。ただ暫く入院した方が良いでしょうって」
「っ……良かったぁ〜!!はぁ……良かった、武道」
体から力が抜けたのか、その場にしゃがみ込んだ和泉は震えた手で武道の頬に触れる。
病室のクーラーで少し冷たくなった肌と体温だが、ちゃんと生きている温もりはあって息もしていた。