The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
「マイキーが悪かったな。多分、冗談つーか面白半分だろうから」
「あ、はい」
「歩いて送ってくな」
暫くしてエレベーターが到着して、2人で乗り込み1階に到着するまで待つ。
エレベーターの中では終始無言であり、何を話せば良いのだろうか。
なんて思っていれば『チーム』と音が鳴る。
そしてエレベーターを降りれば、さっきより風が熱く感じて顔を顰めた。
「あちぃな…」
「そうですね…。風が生ぬるい」
「家まで送るけど、どっち方面だ?」
「あっちですけど…家までじゃなくて良いです。近くまでで結構です」
家まで送ってもらうわけにはいかない。
三ツ谷先輩の時もあれだけど、家まで送ってもらった時にもし家の者に鉢合わせしたら大変だ。
「あ?でも」
「近くまでで大丈夫です」
「……分かった。んじゃ行くか」
夜の街はまだ明るい。
ネオンライトが眩しく、アチコチで客を捕まえようとしてるホストやキャバ嬢がいる。
煩くて騒がしくて、でも少し道を外れると真っ暗で誰も見つけてくれないような所。
そんな所がある街である。
「なぁイズミっち」
「はい?」
「お前は、マイキーの事どう思う?」
「佐野先輩の事、ですか……?」
突然なんでそんな事聞いてくるんだろうか。
そう思いながらも、佐野先輩の事を思い出すと先程の事が脳裏に浮かんでくる。
「……傍若無人?」
「ブハッ!!はははっ!!」
「え?笑うところありました??」
「悪ぃ…普通に傍若無人って言うから、くくっ」
笑いながら肩を震わせるので、そんなに可笑しい事を言っただろうかと眉間に皺を寄せた。
ひとしきり笑った龍宮寺先輩は『あー笑った』と言いながら、深呼吸を繰り返す。
「まぁ、うん。イズミっちはそう思ってたんだな」
「結局何が言いたかったんですか?」
「オレはな、イズミっちに東京卍會に入ってほしいんだわ。お前の存在がマイキーを変えてくれると思ってんだわ」
「俺が、ですか…?」
俺が佐野先輩を変える?
何を返そうと思っているんだろうかこの人は…と思ってしまい眉間に皺が寄った。
この人は俺に何かを期待している。
それは言葉からすぐに感じ取ったし、目に籠っている感情からも伝わった。
「まぁ、そんな感じがしたんだよ。マイキーだけじゃない…東卍も変えてくれるって」