The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
そんな事を言いながら、佐野先輩はベッドに寝そべりながらゴロゴロとまるで猫みたいに体を動かしている。
ていうかそのベッド龍宮寺先輩なのに良いのだろうか。
なんて思っている矢先だった。
隣の部屋から『あ、んぅ…』という鼻から抜ける甘い声が聞こえてきたのは。
「………えっと」
「始まったねー。これ毎度聞こえるんだよね、部屋の壁薄いからさぁ」
「なるほど」
「顔真っ赤にさせたりしないんだ」
「させる必要あります?」
なんなら『こういう声』は聞き慣れている。
といっても最近は聞いてなかったけど…と思いながら隣から聞こえてくる喘ぎ声をシャットダウンした。
「ねぇ、イズミっちこっち来て」
「え…あ、はい」
なんだろうか。
不思議に思いながら、龍宮寺先輩のベッドに寝転がる佐野先輩に近づく。
すると佐野先輩の腕が勢いのく伸びてきて、そのまま俺の腕を掴まれたと思えば視界に天井が映っていた。
そして佐野先輩の無表情までが映り、すぐに押し倒された事を理解する。
「あのねイズミっち。男と2人っきりになる時は気を付けなよ?こんな事されても文句言えねぇよ?結構警戒心緩んでるみたいだけど」
「……っあ」
「おい、マイキー。イズミっち、送っていくぞっ……て」
するとガチャッと扉が開く音が聞こえて、押し倒されている俺を見た瞬間目を見開かせる。
そして勢いよく歩いてきたかと思えば、佐野先輩の頭を思いっきり殴っていた。
「何やってんだテメェは!!??こんな事して、芭流覇羅の奴と変わんねぇぞ!!!」
「いってぇ…!!!ちょっと冗談でやっただけだし!!」
「冗談でもやんな!!イズミっち、大丈夫か!?」
「え……あ、はい……」
慌てた表情の龍宮寺先輩が、俺の腕を掴んでベッドから降ろして肩を掴みながらそう聞いてきた。
そして直ぐに佐野先輩を睨みつける。
「ホントお前はっ…!イズミっち、送っていくから帰るぞ」
「え!?オレも行く!」
「お前は来んな!!反省しろよ!!イズミっち、行くぞ」
「あ、はい…失礼します」
慌てて俺は立ち上がると、龍宮寺先輩と共に部屋を出て廊下を歩いていく。
その間色々な喘ぎ声が聞こえてくるのが、何とも言えない心情であり龍宮寺先輩は特に気にせずボタンを押してエレベーターを待っていた。