The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
今まで男装していて、修二といれば女に誘われたりしたがあそこまで無理矢理しようとさせるのは初めてである。
いやホント怖い…恐怖しかないそう思いながら嬢達が消えるのを龍宮寺先輩の背中の後ろで見守った。
「大丈夫か?イズミっち」
「はい…」
「ケンチンの背中に隠れてて可愛いーね」
「……目、正常ですか?」
何処が可愛いんだよ。
アンタの目は正常かと思い、若干引いたような顔をするが佐野先輩は気にしてない様子。
すると龍宮寺先輩は大きく溜息を零しながら、何故か俺の頭をガシッと掴んできた。
何故急に掴まれたのだろうか。
「お前はここで何してんだよ」
「いや、普通に街歩いてたらさっきの人とぶつかって足挫いたと言ったのでここまで送ってきただけです」
「成程な。つーかこの時間帯になんで街にいんだよ!危ねぇだろうが!?」
「いや、俺よく街ウロウロしてますし」
「危ねぇから辞めろ。不良かよお前は」
「暴走族の不良に言われたくないですね」
なんで暴走族の不良に言われなきゃならないんだ。
というか俺を暴走族のチームに誘ってるクセにそれはないだろう。
「まぁ、でもウチの嬢を運んでくれてありがとうな」
「ウチの嬢??」
「ここね、ケンチンの家なんだよ」
「……え?ここ、龍宮寺先輩のお家なんですか?」
「おう。オレん家」
ファッションヘルスが家ってどういう事なんだよ。
思わずそう思ってしまったが、龍宮寺先輩も色々事情があるのだろう。
そういうのは深く聞いていいものじゃないし、探って欲しいものじゃない。
なら聞くもんじゃない。
俺も家の事情は聞いて欲しくない時があるし、繊細な話でもあるから。
「そういえばケンチン、呼ばれてたんじゃなかった?」
「あー…そうだった。マイキー、イズミっち部屋に連れて行っといてくれ。用事終わったら送ってくから」
「え?いや、俺別に送ってもらわなくても」
「送る。うちの嬢が迷惑かけたわけだし」
「いや、別にホント」
「送ってく。拒否権はないからねイズミっち」
「………はい」
これ断ったら面倒いやつ。
そう察した為、断るのは辞めて大人しく送ってもらうことにした。
ホントは嫌なんだけど…特に佐野先輩が面倒臭そうな事になりそうなので。
「んじゃ、部屋行ってろ」
「イズミっちおいで」