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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第3章 8・3抗争


何時まで経っても、女の人が俺の服から手を離してくれないのだ。
支えて居る状態のままであり、どうしようかと考えながら女の人を見下ろす。


「ごめんなさい、足挫いたみたいで…」

「…大丈夫ですか?」

「今から仕事なんだけど…。足痛いなぁ」


そう上目遣いで言ってくるので、心の中で溜息を零した。
面倒いのに久しぶりに捕まったな…と思いながらも、俺がぶつかって足を挫いたらしいので何とも言えない。

仕方ない。
職場まで送るしかないな…と思いながら、また心の中で溜息を零してから女の人を見る。


「職場まで送ります。場所、何処ですか?」

「え、ほんと!?嬉しぃ…職場ねすぐに近くなの」

「じゃあ、ちょっと失礼しますよ」

「きやぁ!」


近くならタクシー呼ばなくても良いか。
そう思いながら、俺は女の人を横抱きまぁ所謂姫抱きにすれば女の人が俺の首に腕を回してくる。
同時に周りからの視線がうざったくなった。


「お兄さん力持ち!」

「どうも…。申し訳ないですが、職場の場所を案内してもらっても良いですか?」

「ええ!えっと、その道を真っ直ぐに行ってもらって」


道案内を聞きながら、俺は足を進めていく。
暫く歩いていけばキャバクラとかクラブの店が多い所から少し離れていた。

そして女の人が『ここです』と言った場所はビル。
普通の少し寂れたビルであり、キャバクラ嬢と変に勘違いしたことを心の中で詫びた。


(人を外見で判断しちゃ駄目だな…)

「ここの何階ですか?職場の階まで送りますので」

「いいの?」

「俺がぶつかってしまいましたからね」


ビルの中に入ってから、エレベーターに入ると女の人を一旦下ろしてから腕を持ってもらいながら支える。
そして女の人はエレベーターのボタンを押してから、俺にピットりとくっ付く。


(早く着かないかな…。悪い人とか言わないけど、香水の匂いがキツい…)


流石に鼻を塞ぐのも失礼なので我慢する。
暫くすると到着したエレベーターが『チーン』と、気が抜けそうな音を鳴らして扉が開いた瞬間固まった。


「ここが私の職場なのー!ありがと!助かったぁ」

「…そうですか」


まさかの場所。
その場所はまさかのファッションヘルスであり、顔から表情が抜け落ちるのが分かった。


「じゃあ、俺はこれで」

「ああん!お兄さん待って!!」
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