The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第1章 泣き虫ヒーロー誕生
武道が接触しようとしている人物が目の前にいる。
そして未来で自分が死ぬ原因の人物が目の前いる事に和泉は拳を握りしめた。
その手が白くなるまで…なんとも言えない感情を抱えながら。
一方の武道は荒く息を吐きながら、ゆっくりと歩いていくるマイキーを見つめる。
その眉は吊り上がっており歯を食いしばっている。
(こいつが、こいつが東京卍會のトップ、佐野万次郎!!?)
未来で日向と和泉が死ぬ原因を作る人間。
そして直人により稀咲鉄太との接触を止めるよう言われた人間が目の前にいる事に体が強ばっていた。
「マ…マ…佐野君!俺…3番隊の特攻やってます、赤石っす」
少しでも総長であるマイキーに近付きたかったのか、キヨマサとつるんでいる赤石が彼に声をかけた。
だがマイキーは反応を示す事無く無視。
「うっ」
「邪魔……マイキーは、興味ねー奴とは喋んねーんだよ」
「あ…す…すいません」
「あの赤石君が何も言い返せない」
そしてマイキーはキヨマサの目の前へと近づいてくる。
まさかの総長の現れに驚いたキヨマサだが、小さく笑みと頬に汗を浮かばせながら低くい姿勢で頭を下げた。
「お疲れ様です」
だが彼の腹部にドラケンの長い足がくい込んでいた。
勢いがついていたのと、鳩尾に入ったのかキヨマサは口から涎を吐き出す。
それを近くで見ていた和泉は顔を顰めた。
見ていて気分が良いものでは無い…そう思いながら眉を更に寄せながらも気にせず歩いてくるマイキーへと視線を向ける。
「キヨマサー。いつからそんな偉くなったんだー?総長に挨拶をする時はその角度な?」
「は…はい!!!」
咳き込みながら唾を吐くキヨマサ。
そして彼へと視線をやっていた武道であったが、目の前に近づいてくるマイキーに恐怖を感じてしまい口から『あ』という言葉が漏れた。
「あ…ああ…」
マイキーは歩みを進めながらも、その視線は武道にしか向いていない。
そして近づいたマイキーは自分の顔を武道に近づけて、驚いて身を引いた武道はその反動で尻もちを着いてしまった。
するとマイキーは武道を見下ろしながら質問を投げる。
「オマエ、名前は?」
「は…花垣武道」
「…そっか…タケミっち」
「へ?」
「マイキーがそう言うんだから、そうなんだろ?タケミっち」