The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
食べ終わった食器をシンクに置こうとすると、突然そう三ツ谷先輩にお礼を言われて少しだけ目をまくるさせる。
お礼を言われるような事をしただろかと、少しだけ眉を寄せながら。
「ルナマナに箸使いと、テーブルマナーまで教えてくれて。アイツらすげぇ喜んでたし、見返しやるって凄かったな」
「馬鹿にされっぱなしじゃ、アレですしね。両親は揃ってはいますが、俺も似たような事はあったので」
「そう、なのか?」
「……一時期両親と離れて暮らしてた事があって、その時に言われた事があったんですよ」
詳しくは言わない。
これ以上はあまり踏み入ってほしくないから…なんて自分勝手な事を思いながらシンクにお皿を置く。
すると三ツ谷先輩は特に何も聞かなかった。
察してくれたのだろう…それはとても有難い事だし、気を使わせてしまったのは申し訳ない。
「今日も夕ご飯、ありがとうございました。美味しかったです」
「口に合ったなら良かった。そろそろ帰るのか?」
「そうですね」
「んじゃ、送っていくわ」
「え!?いや、そんな大丈夫ですよ!!?」
送っていくという言葉に過剰反応してしまう。
何せあんな家の所に三ツ谷先輩を連れて行きたくないし、鉢合わせした時に本家の奴らが何を言うか分かったもんじゃない。
「でも、んな遅くまで引き止めたわけだし」
「俺が好きで居たんです、三ツ谷先輩は気にする必要はありません」
「なんか、ほんとに和泉ってお堅いな」
「…育ちのせいかもしれませんね。じゃあ俺…この辺りで失礼します」
自分はそんなにお堅いのだろうか。
そう思いながらも、帰ると言うが家に帰るわけではない。
何時ものように放浪してから帰るつもりだし、この時間に帰宅すれば本家の奴らと鉢合わせしてしまう。
それに家の内部事情をあまり知られたくない。
三ツ谷先輩が何か変な事を言いふらす…なんて見えないけど、綺麗な人には汚い事をしってほしくはないのだ。
「和泉、もう帰んの?」
「もう時間も時間だしな」
「え、じゃあ待って。連絡先交換しよーぜ」
話を聞いていたのか、八戒がひょっこりと顔を覗かせてから携帯を手にしていた。
まぁ別に連絡先交換ぐらいは良いけどと思い、八戒と連絡先交換をする。
(なんか連絡先が増えたな…)
連絡帳を見ながらちょっと驚いてしまう。