The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
初めての八戒との夕食。
特に緊張する事もないしと考えながら、机に並べられた夕食を眺める。
大根の味噌汁と焼き鮭とほうれん草の煮浸し。
久しぶりに和食が美味しそうと思えて、腹が鳴りそうなのをぐっと堪える。
「「「いただきます!」」」
「いただきます」
「いただきます…」
ルナマナちゃんと八戒のテンション高めの『いただきます』に驚きながらも、ふっくらとした鮭の切り身を箸で丁寧に1口サイズにして食べていく。
するとふと視線を感じで眉間に皺を寄せながら、目線を上に上げた。
「なんですか…?」
「いや、和泉の魚の食べ方綺麗だなと思って」
「うん。すげぇ綺麗…箸使いも綺麗だし」
「そう…ですか?」
まぁ幼い頃から箸使いとか食べ方とか、英才教育と言わんばかりに躾られた。
何処に行っても恥ずかしくないように神澤家に恥じないようにと。
箸使いは元々おばさんに教わっていた。
でも神澤家本家に戻った時、それ以上に綺麗に持てるようにと折檻まがいな事をされながら躾られたのだ。
「和泉お兄ちゃん、お箸の持ち方本当に綺麗。ルナにも教えて!」
「…箸使いを?」
「うん!ルナね、嫌な男子にお母さんだけだから箸使いもろくに出来ないだろとか言われた事あってね」
「え?お母さん、だけ?」
思わず目を見開く。
すると三ツ谷先輩は苦笑を浮かべながら、頬をかいておりルナちゃんも何処と無く苦笑を浮かべていた。
「オレん家、母子家庭なんだよ。だったらどうしても、それに対して馬鹿にしてくる奴らがいるんだよ」
そう言えばそうだ。
俺がまだおばさんと鳴海ねぇ達と暮らしていた時、『父親いないんだろ!』と馬鹿にして来た奴らがいたのを。
何故かは知らないがこのご時世、両親がいない奴らはろくな教育を受けてない。
そんな事を言う奴らが多かった。
「……良いよ。まぁ既にルナちゃん箸使い綺麗だけど、もっと綺麗に使えるように教えるよ。そんな事言った馬鹿共見返す為にも」
「っ!ありがとう!!」
「マナにも教えて!」
「良いよ」
そして食べながら、箸使いを教えていたのだが飲み込みが早いのだ。
というか元々箸使いは綺麗だったので、普段から三ツ谷先輩かお母さんが教えていたのだろう。
そう思いなが夕食が終わっていった。
「ありがとうな」