The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
薄らと頬が桃色へと変わっている。
それに気が付いたドラケンはふむ…と顎を触りながら三ツ谷の方へと目を細めながら見た。
「イズミっち、気を付けろよ?三ツ谷の奴あんな顔してケダモノだと思うから」
「え、あ…はい?」
「おいドラケン!!何和泉に変な事吹き込んでんだテメェ!!」
「変な事じゃねぇよ。男はみんなケダモノって言うだろ?真面目に気を付けろよイズミっち」
「とんでもねぇこと言うな!!」
何故かドラケンに両肩を掴まれながら、まるで母親が子供に言い聞かせるように言われた和泉は困惑しながらも三ツ谷の方へと視線を投げる。
何とも言えない視線。
それを感じた三ツ谷は、ドラケンを睨み付けてから咳払いして和泉に話しかけた。
「変な事をしようとしてねぇから…安心してくれ。安心してくれっていうのも可笑しいけど」
「大丈夫ですよ…。三ツ谷先輩が変なことするなんて、思ってませんから」
「……頑張れよ、三ツ谷ァ」
「……おう」
何かを話している2人を見ながら、和泉はあの部屋で頬を撫でられたのを思い出す。
あの時触れられて嫌な気分はしなかったのが不思議だった。
触れられたその温もりが心地よかったから。
「んじゃ、オレはそろそろ帰るかね」
「もう帰るんですか?」
「おう」
「気を付けて帰れよー」
「おー。イズミっち、三ツ谷には気を付けろよ!」
「帰るならさっさと帰れ!!!」
あまりにも要らないことを言うドラケンを、三ツ谷は顔をほんのり赤くさせながら追い出すように帰した。
そして玄関から戻ってくれば、既に和泉はルナマナ達と遊んでいる。
ドラケンのせいで変な空気になったら、アイツをどうしてくれようと考えていた三ツ谷だったが和泉は特に気にしていないようだ。
「お姉ちゃん、ご本読んで!」
「え?本?」
「そ、本。これ、ラプンツェル読んで」
「…懐かしいな。ラプンツェル」
「オレは、飯の準備するか…」
絵本を読み始めた3人を見ながら、三ツ谷は台所へと向かう。
既に外はゆっくりと日が傾き始めて、家の中を微かにオレンジ色に染めていた。
夕食の準備をしている間、ふと三ツ谷は3人の声が聞こえなくなったのに気が付く。
先程までは絵本を読む和泉の声が聞こえていのに。