The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
「マイキーも、和泉を気に入ってんだろ?」
「ま、アイツは何処まで本気かは知らねぇけど。三ツ谷は本気そうだなぁって思ったぜ」
相変わらず鋭いドラケンに、笑みを浮かべながら三ツ谷はフライパンをコンロに置く。
切ってあった食材を油をしいたフライパンに入れると、ジューという音が家の中に響いた。
そんな音を聞きながら、ドラケンは外から楽しげ笑うルナマナとそれを追いかけているであろう和泉の声。
和やかな声と音が響いている。
「なぁ三ツ谷」
「あ?」
「イズミっちが男装してる理由、お前知ってる?」
「知ってる。本人から聞いたからな…お前も聞いたのか?」
「正確にはエマから。にしても驚いた…エマと場地の奴、4歳ぐらいの時からイズミっちと知り合いだったらしいからな。知り合いというか幼馴染らしいぜ」
「幼馴染か…」
「でも、ある日からイズミっちはパッタリとエマとは連絡を取り合わせなくなった。んで場地ともらしい…理由は分かんねぇけどな」
昨日、エマから詳しい話を聞いたドラケンはその記憶を一つ一つ辿りなが言葉にしていく。
最初は幼馴染であった事にかなり驚いたが、彼女の従姉妹である鳴海がエマの腹違いの兄の恋人ならば幼馴染でも納得はいくものだ。
「でも、エマちゃんと場地とは幼馴染なのにマイキーは違ったんだな」
「あ〜、アイツなかなか真一郎君のバイク屋に行かなかったみてぇだしな。それに当時はイズミっちの事を聞いてたけど興味が無かったらしいぜ?」
「マイキーらしいな」
「でも、途中から会いたくてたまらなくなったらしい。でもそう思った後に鳴海さんが亡くなって会う機会が無くなったってな」
ゴロンと転がれば、ふわりとキッチンからオイスターソースの匂いが香る。
これは今日は焼きそばだなと気付いたドラケンは、目を窓の方へと向けた。
「マイキーがな、言ってたんだよ」
「マイキーが何を?」
「イズミっちが傍にいたら、何か変わるんじゃないかって。オレもなそう思うんだ」
「何か、変わる…?」
「マイキーとオレらを…東卍を変えてくれる気がするんだよな…イズミっちは」
何を変えてくれるか。
そう問われたら確実な答えは言えないが、ドラケンはマイキーが言った通り和泉が何かを変えてくれそうな気がしていた。