The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
すると龍宮寺先輩がふと此方を首だけで振り向いたので、思わず武道と身を隠す。
そしてまたチラッと見れば歩いていく後ろ姿が見えた。
「じゃあ、オレこのまま直人の所行ってくる」
「ん、了解。無理するなよ」
「おう!」
走っていく武道を見送る。
未来で何か情報が掴めれば良いけどな…と思いながら消えていく武道の背中を見た。
自分もタイムリープ出来たら良いのに。
何回かそう思う時があったが、それは不可能だからこっちで武道を手伝うしか出来ないのが歯がゆい。
「よぉ、イズミっち。なーにしてんだぁ?」
「……え」
ふと声をかけられたかと思えば、肩にズシッと何か乗っかり首だけを後ろに向ける。
するとそこには笑みを浮かべている龍宮寺先輩の姿。
「りゅ、龍宮寺先輩…」
「付き人の件から、コソコソと付けて来て何か成果は得られたか?」
「…バレてました?」
「おう。ばっちし」
まさかバレていたとは。
でも分かっていて放置するとはタチが悪い気がするような…だが跡を付けていた自分達が悪いのでなんとも言えない。
すると龍宮寺先輩は面白げに笑いながら、何か閃いたような表情をする。
そして俺の腕を掴むと歩き出した。
「え、ちょっ、龍宮寺先輩?」
「付き合えよイズミっち」
「え?」
「付き合ってくれたら、尾行してた件は追求しねぇから」
「は、はぁ……」
まぁ追求してほしくはないし、この後暇だったから良いかと思い龍宮寺先輩に付き合う事にした。
何処に行くかは分からないが取り敢えず、隣に並んで歩き出す。
「何処に行くんですか?」
「三ツ谷ん家。久しぶりにアイツの飯食いたいし」
「さっき、三ツ谷先輩居ましたよね?」
「おー。マイキーの奴眠たそうだったし、送ってもらったんだけどな。送ったあとは家に帰るらしいから…それにアイツもお前に会いてぇだろうから」
「え?」
「……こりゃ強敵だなぁ」
「どういう意味ですか?」
「別に?」
意味が分からない。
龍宮寺先輩といえ、あの八戒といえ何か変というかなんと言うか。
三ツ谷先輩の自宅を目指しながら歩いていき、チラッと龍宮寺先輩を見れば目線がかなり上にいく。
背が高いが、恐く修二の方が高いなと思いながら。
「なぁイズミっち」
「はい?」
「あの時、病院にいた時どう思った?」