The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
「そうか」
「で…話をしたんだ。したのは……良かった、んだけど……アッ君がさ言ったんだ。オレを線路に突き落としたのは自分だって…」
「………は?」
確か武道は線路に落ちたことにより、一番最初のタイムリープをした。
だがその線路に落ちた理由は誰かに突き落とされたから…そう聞いている。
だけど何故だ。
何故あんなにも仲が良い千堂が未来で武道を、線路へと突き落としたのか不明。
「それでさ、アッ君に東京卍會を辞めろって言ったんだ。だったら『ただひたすら稀咲が怖い』って……そんで、そんで……飛び降りたんだ」
「……飛び、降りた」
「アッ君、目の前で飛び降りて……それでっ」
ボロッと武道の青空を連想させる、美しい碧眼から涙が零れ落ちた。
目の前で千堂が飛び降りた…想像しただけでもキツいのに、コイツは目の前でそれを見たのだ。
「武道……」
「アッ君……っ」
手を伸ばして俺は武道の背中をさする。
今の俺はこれしかしてやれなくて、ただただ武道が泣き止むまで待った。
暫くして、鼻をズビズヒと鳴らしながら武道は俯かせていた顔を上げる。
そして涙を拭いながら俺を見た。
「アッ君がな、ある事を言ってたんだ」
「ある事?」
「マイキー君が変わったのは、ドラケン君が死んでから」
「……ちょっと待て。じゃあ、未来で龍宮寺先輩は居ないって事なのか!?」
まさかの事に俺は目を見開かせた。
未来で龍宮寺先輩は居ない、そして死んでいるという事実に息を飲んでしまう。
「未来で、こういう新聞記事を直人から聞いた。2005年8月3日の東京都渋谷区の駐車場で、暴走族のグループ50人が乱闘。中学生がナイフで腹部を刺される等の暴行を受けて死亡……これの中学生がドラケン君なんだ」
「8月3日……8月3日って、東京卍會と愛美愛主の抗争の日だろソレ……」
「そうなんだ。しかも、“マイキー派”と“ドラケン派”による内部抗争によってドラケン君は死んだって」
「内部抗争!?あの2人にかぎってそれはないだろ!?」
まだ2日しか交流がない。
だけどそれでも分かるぐらい、あの二人は仲が良いしとても抗争を起こしそうな感じではない。
もし抗争が起きたとしても、それは裏がある。
そうしか考えられないぐらい、あの2人が内部抗争を起こすようには見えない。
「裏があるだろ、ソレ」