The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
2人で帰宅路を歩いていく。
よくこうして2人で帰っていたが、今日は普段行かない場所からの帰り道なので不思議な感じである。
そして横目で武道を見れば少し顔色が悪い。
「おばさん驚くかな」
「え?あ…まぁ…どうだろ」
「実は最近お前の家には泊まりに行かなかったんだよな…。昔は結構な頻度だったけど」
「そうだった?」
「ん。橘と付き合いだしたからさ…配慮」
幾ら俺が男装しているとはいえ、一応俺は女であるから橘に申し訳ないというか…アレだから。
まぁ俺は武道に対して恋愛感情は無いし、武道も俺への恋愛感情は無い。
血は繋がってないが兄妹のようなもの。
産まれた時から一緒で、暫くは違う場所で暮らしていたけどそれでもよく会っては遊んでいた。
「俺はね、お前と橘が大好きなんだ」
「なんだよ…突然?」
「ただ、言いたかっただけ。お前ら2人は俺にとっては…大切で守るべき存在だから」
「なんか照れるな」
伝えたかったんだよ。
お前と橘が俺にとって今もこれからも…とても大切な存在である事を。
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ー花垣家ー
「ただいまー」
「お邪魔しまーす!」
「あらあら、和泉ちゃん。久しぶりね」
「おばさん、久しぶり」
花垣家に到着して、ニコニコと微笑みを浮かべてやって来たのは武道のお母さんであるおばさん。
産まれた時からお世話になっていて、自宅に戻らない俺によく泊まっていくように行ったり食事を提供してくれている。
「止まっていくの?」
「うん」
「ご飯食べた?」
「食べたよ。あ、でも朝ごはん食べていっても良い?」
「良いに決まってるでしょ。じゃあ明日の朝食は和泉ちゃんが好きな、トーストとピーマン入のオムレツね」
「うげっ、ピーマン…」
まさかの26歳になってもピーマン嫌いなのか。
武道の発言にそう気が付いた俺は苦笑を浮かべながらも、2階にある武道の部屋へと向かう。
お風呂に入るよう言われたので、着替えを取りに行く。
ちなみにだが…。
俺の着替えは武道の部屋に常備されており、タンスの半分は俺の服で占領されている。
「着替え、着替えっと…」
「俺の部屋のタンスなのにな…」
「俺の部屋にもお前の着替えあるじゃん?」
「いや、量。ありすぎ」
「一時期はここに住んでるようなモンだったしな」