The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第1章 泣き虫ヒーロー誕生
ー三人称ー
処刑という言葉が響く中、武道は自分達を奴隷にして喧嘩賭博を開催していたキヨマサに挑んでいた。
本当はタクヤと違う人間の戦いであったが、武道はこの状況を変えるためにキヨマサにタイマンを挑んだのだ。
何度も殴ら蹴られて…。
喧嘩が弱いと言われる武道は、既に体はボロボロとなっているがそれでも挑んでいき叫んでいたギャラリーの声が静まる。
「アイツ…すげぇ根性だな…」
「あ…ああ…」
「自分より明らかに強えー奴に、あそこまでやれる?」
静まる中、キヨマサの武道を殴る鈍い音が響いているがそれでも武道は倒れない。
すると流石にもう危険と察したタクヤと千堂が叫ぶ。
「もういいってタケミチ!!!」
「マジで死んじまうぞ!!」
静まるギャラリー。
そして彼らの視線は血を流しながらボロボロの武道へと向いている。
だが武道は未だに倒れない。
しっかりとその足で地面を踏みしめて、俯きながら笑みを浮かべた。
「ま…だぁ…まだだよ。まだ…まだこんなんじゃ…オレの…12年、ヘタレた…心は…直らねぇんだ…よ」
「何言ってんだ、オマエ」
「武道っ!!」
「あ、神澤っ!」
すると山岸のメールで駆け付けた和泉が現れて、直ぐに真ん中で血を流している武道へと視線をやる。
ボロボロで鼻や口から血を溢れ出している姿に顔を顰めた。
「逃げて逃げて、逃げて逃げて」
ふらつく武道の脳裏には12年後の未来、この過去にタイムリープする前に話した直人の姿を思い出す。
必死な顔で武道に話した彼を。
『姉と和泉さんを救ってください』
『君にしか、姉と和泉さんは救えない』
その言葉と共に、日向の姿と和泉の姿が浮かんだ。
未来で死んでしまっている大切な2人、そんな2人を助ける為にタイムリープした武道。
じわりと涙が浮かぶ。
だが武道は決して引くことをせず、逃げる事もしない姿に千堂はまた叫んだ。
「もう引けよ!タケミチ!十分気合い見せたよ!!」
「引けねぇんだよ!!!!引けねぇ理由があるんだよ!!!」
「……武道」
和泉はその叫びに息を飲んだ。
引けない理由…それは未来で日向と自分を救う事なのだろうかと思いながら眉間に皺を寄せる。
「東京卍會、キヨマサ。勝つにはオレを殺すしかねーぞ」