The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第1章 泣き虫ヒーロー誕生
タクヤは病弱である。
無理な喧嘩をすれば喘息のような物を起こして、何度か俺が駆けつけた事があった。
そのタクヤが喧嘩賭博のファイターという言葉に眉間に皺を寄せる。
「オレがタクヤの事は何とかする。だから和泉は引き続き佐野万次郎の情報を集めてほしいんだ」
「……俺も行かなくていいのか?」
「うん。大丈夫だ」
そう頷いた武道の表情は大人に見えた。
本当に中身が大人なんだな…と思いながら、俺は歩いていく武道達を見送る。
多少の不安はある。
だが武道にああ言われた以上は情報を集めなきゃならないな…と思いながら授業に参加した。
(佐野万次郎、稀咲鉄太……。この2人の接触を止めれば本当に東京卍會ていうチームは犯罪組織にならないのか?)
そう考えながら授業を聞いていく。
教師は武道が居ないが特に気にしない…最初は怒っていたが諦めたのだろう。
「喧嘩賭博…か」
下らない事をしているな。
そう思っていた時、ポケットに入れていた携帯がバイブ音を鳴らした。
(メール…、山岸から?)
喧嘩賭博に行ったはずの山岸からのメール。
なんだろうかと思いながら携帯を開くと、その内容に目を見開かせて勢いよく立ち上がる。
「は!?」
すると勢いに耐えられなかった椅子が倒れて、一気にクラスメイトと教師の目線が押し寄せた。
だが俺はそれを気にせずに鞄を手にする。
「具合悪いんで早退します」
「な!?神澤!!??」
教師の引き止める声が聞こえたが、俺はそれを無視して廊下を走っていく。
あのメールの内容は『タケミチがタクヤ庇って、喧嘩売ったけどやばい。助けてくれ』だ。
「助けてくれってメール送る暇あんなら、お前らが助けろよなっ!!」
舌を打ちながら、走っていきメールで書いてあった喧嘩賭博の場所へと向かう。
幸いなのかどうか知らないが、その場所は学校から近くであり走っていけば直ぐに着くだろう。
そして暫く走れば喧嘩賭博が行われているだろう場所につく。
すると親子連れやカップルが怯えた表情で歩いているのが見えて、同時に煩い声が聞こえたきた。
「殺せー!!キヨマサ君!!」
「処ッ刑!処ッ刑!」
「処ッ刑!処ッ刑!処ッ刑!!」
「処ッ刑!処ッ刑!!」
「処刑って…喧嘩賭博やってるんじゃねぇのかよ!!」