The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
真一郎君と似ている。
彼が総長をしていた時に似ているのだ…彼の一言で隊員達が湧き上がるその光景が似ているのだ。
その事に俺は大きく目を見開かせて佐野先輩を見る。
「“愛美愛主”潰すゾ!!!」
佐野先輩の言葉に歓声のような、興奮止まぬ声が武蔵神社に響き渡る。
今見ている光景は初代黒龍と、鳴海ねぇの初代朱雀の集会を見ているようだった。
目頭が熱くなってしまう。
泣きそうなそんな不思議な感情が溢れてしまい、目を瞑ってから泣くのを何とか耐えた。
「8月3日。武蔵祭りが決戦だ」
愛美愛主と東京卍會の抗争。
そういえば、修二が何故か愛美愛主のメンバーと居たことを思い出して眉間に皺が寄る。
(もしかして……アイツ愛美愛主のメンバーなのか?)
もしそうなら、あんなチームとつるむのはやめて欲しい所はある。
面倒くさい事になりそうだし、第一もし修二の身に何かあればそれが1番嫌なのだ。
「これにて集会は終わる!!各自解散!!」
龍宮寺先輩の声が響き渡り、それを聞きながら武道へと目線をやった。
恐らくこの武道は未来の武道なんだろうな……と思いながら後で話を聞くことを決める。
集会が終わった後、佐野先輩に待つように言われた俺たちは来るように言われるまで階段の所で待つことになった。
まぁこの時間はちょうど良いだろう。
「マイキー君、どうしたんだろうな」
「さぁ。それより、おかえり未来の武道君?」
「え………き、気がついてたのか!?」
「確信はしてなかったけどな。何となく雰囲気とかで」
「雰囲気か…。え、でもすげぇ気付くなんて」
「何年幼馴染してると思ってんだ」
こちとら生まれた時からお前の幼馴染なんだぞ。
そう思いながら、階段の所に座っている武道に近づいてから隣に腰掛ける。
「未来に帰ってたんだろ?何かあったのか?」
「えーと…未来に帰ってたのはその……」
「ん?」
「間違えて、直人と握手しちまって」
「馬鹿だろお前」
「はい……返す言葉もないです」
間違えで握手して未来に帰るとか…。
だが武道は直ぐに帰ってこなかったという事は、何かあったのだろうかと思った。
「お前、直ぐに戻ってこなかったけど…未来で何かあったのか?」
「……和泉って鋭いよな」
「鋭い訳じゃないけどな。考えたら大体分かる」