The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
「パーは今、気ぃ立ってるからよ」
「“愛美愛主”の頭は“長内”って奴なんだけど、ちょっとした事でパーの親友とモメてな」
もしかして、三ツ谷先輩が昼間に言っていたメンバーってあのパーていう男なのか。
そう思いながら三ツ谷先輩を見れば、グッと眉間に皺が寄っていた。
「パーの親友は愛美愛主のメンバーに袋叩きにされて、更に目の前で彼女レイプされて、親兄弟吊るされて金巻き上げられて。で、藁にもすがる思いでパーに相談してきたんだ」
「胸糞悪……」
「ああ、むなクソわりぃ。そんなんガキの喧嘩じゃねぇだろ?」
「……ひでぇ…」
「愛美愛主は、そういうチームなんだよ」
ふと思い出した。
武道が12年後の東京卍會を教えてくれたのと、愛美愛主が似ているのを。
つまり12年後の東京卍會は愛美愛主のように腐りきっているという事なのだろう。
何故そうなったかは知らないけど。
「どうする?パー」
考えこんでいれば、佐野先輩の声がして其方へと視線をやれば彼の目の前にあの肥満体型男もといパーという男が頭を下げて立っていた。
「ヤる?」
「…相手は2つ上の世代だし、皆に迷惑かけちゃうから……。でも…悔しいよマイキー」
「んな事聞いたねぇよ。ヤんの?ヤんねぇの?」
佐野先輩は優しい言葉なんてかけない。
でも確かに今優しい言葉をかけて、慰める必要はないのだろう。
あの肥満体型の男が、親友の仇を取りたいのかどうかが知りたいのだろうから。
「ヤりてぇよ!!!ぶっ殺してやりてぇよ!!!」
「だよな」
「え?」
さっきの冷たい眼差しと表情から打って変わって、佐野先輩はあの無邪気な笑顔へと変わっていた。
その変わりようにやはり驚いてしまう。
無邪気かと思えば冷たい表情。
真剣な表情になってみたり、幼い子供のような表情をしたりとコロコロよく変わる人だ。
そう思っていれば佐野先輩は立ち上がった。
「東卍(こんなか)にパーの親友(ダチ)やられてんのに、迷惑って思ってる奴いる!?パーの親友やられてんのに、“愛美愛主”に日和ってる奴いる?いねぇよなぁ!!?」
空気がまた変わった。
アレだけピリついた空気だったのに、隊員達が一気に挑発的なような笑みへと変わっている。
そして三ツ谷先輩や龍宮寺先輩も笑みを浮かべているではないか。