The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
黒曜石のような瞳は真剣なものを帯びている。
そして目の前に並ぶ隊員達を見ており、その姿が何処か真一郎君に重なった。
何時か見た真一郎君が行った初代・黒龍の集会の姿が。
「今日集まったのは“愛美愛主”の件だ。ウチとぶつかりゃでかい抗争になる」
愛美愛主という言葉に空気が変わる。
三ツ谷先輩から聞いてた話だと、確か東卍の誰かの親友とその彼女が愛美愛主からのリンチにあったという話。
そういう話なら、東卍のメンバーも空気がピリつくのも当たり前なんだろう。
なんて考えていれば、隣にいた武道が『どういう事!?』という顔をしていた。
「ぶつかるなら武蔵祭りのタイミングだ」
すると佐野先輩はその場に座り込んだかと思えば、ニコッと笑みを浮かべた。
でもその笑顔は無邪気なあの笑顔じゃない。
「じゃあ、みんなの意見を聞かせてくれ」
「タケミっちに教えてやれ」
「ウッス」
?マークを頭上に大量に並べてそうな顔をしている武道を見かねて、龍宮寺先輩が三ツ谷先輩にそう指示をした。
そして三ツ谷先輩は俺達の元に来ると説明を始める。
「和泉にはもう説明してあんだけど、“愛美愛主”はオレらの2つ上の世代で新宿を仕切ってる暴走族だよ」
「え!?ここらを仕切ってるのは東卍じゃ!?」
「東卍は渋谷ネ、新宿は別。それにまだ東卍は新しいチームだしな」
そういえば東卍って、2年前ぐらいに出来たとか三ツ谷先輩言っていたなと思い出す。
2年前だとしたら三ツ谷先輩達が中一の年齢か…と何となく考えてる。
「んで抗争っていうのが…」
「うおっ!」
三ツ谷先輩が説明を再開させようとした時、隣で武道が軽く飛んでいた。
背中を何者かに蹴られており、その衝撃でその場に崩れこんでしまい俺は直ぐに蹴った奴を見た。
あの肥満体型の奴が、何故か武道の背中を蹴ったのだ。
そして俺は足を上げると、そのまま肥満体型男の脇腹目かげて蹴りを入れた。
「いっ!!」
「お前、何してんだ……?」
「和泉!!」
「テメェこそ何してくれてんだ!!」
「質問を質問で返すなよ。何俺の幼馴染、傷付けようとしてんだよ」
ゆっくりと目を細めながら、声を低めにしながらそう聞けば少しざわついた声が聞こえる。
そして蹴られて座り込んでいる武道は一気に青ざめた表情へと変わっていた。