The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
どこかやる気のない声を出すエマ。
するとエマは俺の方へと視線を向けて、嬉しそうに表情を明るくさせた。
この辺小さい頃から変わらないよなと思わず笑ってしまう。
「和泉!来てたんだ!!」
「うん。三ツ谷先輩に誘われて」
「そうなんだ〜。あ」
ニコニコ微笑みを浮かべていたエマだったが、ふと武道の方へと視線を向けた。
俺も武道の方へと視線を向けると、何故か武道は焦ったような表情。
そしてエマはニマーと微笑みを浮かべている状況であり、この2人もしかして顔見知り?
なんて思っていればエマが手を挙げた。
「よっ、いくじなし君♡」
「いくじなし君??」
「誰の事?“いくじなし君”って?」
「オマエ…エマと知り合いなの?」
あ、なんか嫌な予感がするな。
そう察した俺はその場から退散する事を決めて、三ツ谷先輩の所にでも避難する事にした。
「“いくじなし君♡”ってどーゆー事ですかぁ?」
「ち…違うんだヒナ!!オレはなんも覚えてなくて!」
「エマの下着姿みたくせに逃げた。いくじなし」
やっぱり逃げた方が良いな。
俺は小さく頷いてから逃げようとすれば、バッチリと武道と目が合った。
武道の目は助けてと言わんばかりの目をしている。
だが俺はそういうのは関わりたくないし、多分武道の自業自得なのだろうと思い見捨てた。
「ん?和泉、お前タケミっちの所にいたんじゃないのか?ていうか何やってんだ??タケミっちとエマちゃんに…アレタケミっちの嫁ちゃんだろ?」
「武道が何かやらかしたようで。俺は早々に避難してきました」
「……あー…そうか」
後ろでは何やら殴られている音が聞こえる。
恐らく武道が橘に殴られているんだろう…確かあの子空手やっていたよなと呑気に思いながら殴られる音に耳を傾けていた。
「にしても、アレがタケミっちか」
「はい。隣にいる嫁ちゃんは、橘日向っていう子でヒナとか呼ばれてるんですよ」
「そうなんだな。にしても…ヒナちゃん強いな」
「空手習ってたらしいので」
三ツ谷先輩は苦笑を浮かべながら、武道達がいる方へと目線を向けていた。
にしてもエマの下着姿を見たってどういう事なのだろうか……気になるので後で聞くかと溜息をこぼした。
そして事が落ち着くのを待つことにする。