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≪進撃の巨人≫ 蒼翼の天使 

第10章 強奪する男


ギィィィィイ_____
ドアを開く。
冷たい夜風がフィンの身体を吹き抜ける。

やっと外に出ることが出来た。
見上げると夜空には星々が煌めている。
昨日の星と宝石の絵画を思い出した。
あの美しかった鳥はどこに飛んでいきたかったのだろう…
そんな疑問を浮かべながら暗闇に身を隠す。

辺りをフィンは立体機動装置を探してみるが、そんな簡単には見つからない。

冷たい地面に膝をつき昨日の昼に連れてこられた記憶を
必死に呼び起こす。


指を小さくはじいて立体機動装置のあった古びた倉庫を思い出した。
暗闇の中息を潜め、倉庫に向かう。


兵士が2人、見張りをして入口に立っている。
あくび混じりに談笑し警戒を緩んでいる。
フィンには好都合だ。

ふと開いている窓に目が止まる。
いかにも侵入してくださいと言っている木が横に生い茂る。
木に登れば簡単に入れそうな高さだった。


フィンは身軽に木を登り軽々とジャンプして倉庫に入った。

冷たい木の床に膝をつく。
キィッと小さく床がしなった。
まるで義賊みたい。自分で皮肉の笑みを小さく浮かべる。



倉庫には立体機動装置が綺麗に整列している。
任務前に整備していたのだろうか、ピカピカに磨かれた立体機動装置を覗き込む。

ずらりと並べられている立体機動装置の前に一つだけ目立つように置かれている。


ゆっくりと近づく。
「……私の……。」
と呟きながら見慣れた立体機動装置に足を進める。

隣にはシワ無くピシッと几帳面に
畳まれた兵服が並べられている。

きっと自分の兵服だろうと思った。
任務に連れて行かないと言ってたのに
兵服は用意されている。

意見が対立していた証拠だった。


フィンは置かれていた兵服に着替える。
サイズ、ズボンの丈、全てピッタリだった。
間違いなくフィンの為に置かれた兵服だった。


立体機動装置を付けて
ふと兵服を身にまとった自分が鏡にうつりこんだ。

フィンは鏡を見て、外見は調査兵団なのに……
独りのままだね。
悲しそうな顔をしている自分を作り笑いで元気づける。


立体起動装置に手を添え、
「・・・大丈夫。」
祈るように膝をつき唱える。
この翼は私に強さをくれる。


フィンはまた窓から外に飛び出し、月明かりが見守る夜の街へ消えていった。
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