第2章 淹れたての紅茶
「よかったらルフナ、試しに飲んでみますか?」
リヴァイを紅茶通だと確信していたフィンは声を弾ませて話しかける。
わずかにリヴァイの眉間のしわが浅くなった、そんな気がした。
「あぁ・・・・頼む。」
リヴァイは低い声で呟いた。
はい、喜んで!とフィンは
てきぱきと紅茶を淹れる準備をする。
すぐにお湯を沸かし、熱々のお湯をティーポットに注いで抽出していく。
ゆっくりと透明なガラスのティーポットが
茶葉に彩られて紅く染まっていく。
少しずつ淹れたての紅茶の香りがふんわりとやさしく広がり出す。
フィンはじっくりと時間を測るかのように、ティーポットを眺める。
フィンのその姿をリヴァイも見守る。
ハンジとリヴァイの前に白いティーカップを並べる。
トポトポ…‥…。
トポトポ‥‥…。
いい頃合いに綺麗に染まった紅茶をゆっくりと注いでいく。
「お待たせしました、どうぞ。」
どうぞと手を添えて笑顔を二人に向けて言った。
二人はふーふーと紅茶冷ましながら一口飲みこむ。
ハンジはすぐに
「すっごくおいしいよ!」
と飛びっきりの笑顔で期待通りに応えてくれた。
リヴァイは黙ってティーカップを覗き込む。
もしかしたら、口に合わなかったのか?
不安が頭をよぎる。
リヴァイの口からフッと笑ったような息が出た。
「‥‥悪くねぇ。」
その一言にフィンの胸は高く躍った。
不器用な一言だけど、
きっとおいしいって意味なんだろうなと
自然に笑みがこぼれた。
「お二人の口に合ってよかったです。」
とフィンの明るい声が店内に響いた。
リヴァイは紅茶を飲み終えると
「‥…ありがとな。」
と小さくポツリと呟きすぐ立ち上がり興味深そうにまた店内を物色し始める。
フィンの胸はきゅんと縮んだような感触を感じる。
心臓が痛い気がした。
リヴァイの店内を見ている様子が、やはりアンバランスでつい微笑んでしまう。