第9章 微熱を帯びたお酒
「さぁ、挨拶も済んだことだし。
ミケの話、フィンの話と
整理をしようか。
ってあれ・・・・
リヴァイはどこに行っちゃったの。」
とハンジがフィンとモブリットに尋ねた。
「・・・・・兵長はお怒りの様子で・・・
どこかに行っちゃいました。」
と顔色を曇らせ、ぎこちなく話すモブリット。
「えぇ・・・・」
とハンジが口を開く。
「・・・まぁいいや。リヴァイにはあとで伝えれば。」
え、いいの・・・・?
とフィンは内心突っ込みを入れながら
ハンジの言葉に耳を傾けた。
「まずミケが持っていたこのノートに
書かれた薬物の売買記録、
いま壁内で流通している『ハブデイン』のことで
間違いないだろう。
作っていたのはフィンの兄、
ノインで間違いないね?」
フィンは静かにうなずいた。
「・・・ノイン?え?」
と思わずモブリットが口走る。
ハンジが
「ん?」
とすかさず、モブリットに視線を送る。
「・・・・・あ、いえ。
分隊長、続けてください。」
とモブリットは口をつぐんだ。
「うん。
そしてノートのイニシャル。
ここらで悪名高い議員と一致するんだ。」
ノートに書かれたS・Hを指さす。
「シャコール・ハイドロフ。
貴族で議員だね。」
フィンの頭に
昨晩声をかけてきた醜男の姿が浮かび上がった。
「・・・・・あいつが。」
フィンは、ハッと我に返った。