第8章 理由と意地
「……わかりません。
まだ私は巨人すら見たことがないので……。
でもきっと私は調査兵団の役に立てると思うんです。
……私の体は…きっと普通の人と違うから……」
モブリットの手がそっとフィンの頬を撫でる。
「何が違うの?」
「……上手く言えないけど体中から力がみなぎって」
モブリットの手が首元のスカーフにかけられる、
フィンは言葉を止める。
しゅるりっと音を立てながら
スカーフが床に落とされた。
「…………普通の女の子と変わらないよ。」
フィンの首元の赤い印をなぞりながら話す。
「・・・か弱い女の子じゃないか・・・・。」
とモブリットが悲しい顔を浮かべ
フィンの首を痛々しそうに見つめる。
「モブリットさん・・・・あの・・・手・・・」
モブリットの温かい手が首に触れる。
指先にはほのかに熱を感じる。
触れられて首が
ジンジンと熱くなってゆく。
モブリットは静かにフィンを見つめる。
小さくため息を吐いて
「・・・・・ごめんね。」
モブリットの手が離れる。
「・・・いろいろと思い出しちゃうよね・・・。
兵長もひどいね・・・。」
フィンはモブリットの予想外の言葉に
「えっ・・・・」
と小さく驚く。
「・・・・え?」
モブリットも小さく驚いた顔で
フィンの顔をのぞき込んできた。
「・・・・・兵長じゃないんです。
違う人に・・・・」
と小さくか細い声でつぶやいた。
ガチャッ_____
「オイ。」
ノックもなしにリヴァイが部屋に入ってきた。