第8章 理由と意地
モブリットが丸椅子を持って来て
ベッドの横に置き腰掛けた。
「ねぇフィン…
何か痛いことされたり、
リヴァイ兵長に脅迫された……?」
と心配そうに覗き込んできた。
「……されてません。
ちょっと昔話したら涙がでてしまって」
と作り笑いを浮かべる。
「……フィンはどうして調査兵団に…」
モブリットの表情がまた険しくなった。
「……火事の時……私、
そのまま死のうと思ったんです。
ただ、リヴァイさんに救われた命を……
私の心臓を捧げてもいいかなって思ってます……。」
フィンが胸を握りしめながら話す。
「フィン。今からでも遅くない。
リヴァイ兵長に話して調査兵団入団は断ろう。」
モブリットはフィンの胸に当てた手を握る。
「君が想像しているよりずっと、壁外は地獄なんだ。
巨人に食べられる仲間を何人も見てきた。
時には仲間を見捨てる選択をしなきゃならない。
そうやってみんな生き延びてきたんだ。
フィン、キミに仲間を見捨てることができる?
俺やリヴァイ兵長、分隊長を見捨てて生き延びることができるの?」
モブリットは苦悶の表情でフィンを見つめる。