第8章 理由と意地
ちッ。とリヴァイの舌打ちが聞こえ、フィンは体を慌てて離した。
リヴァイはドアに向かってずかずかと歩いていく。
フィンはドアと反対方向にあるベッドに急ぎ足で戻ってストンッと腰を落とした。
「なんだ。」
と不機嫌な声でリヴァイがドアを開けたと
同時に、ハンジが
「フィン~大丈夫~?」
ズカズカ前進して部屋に入ってきた。
ハンジの背後には険しい表情をした
モブリットの姿があった。
リヴァイの顔はいつもの表情に戻っていた。
一方フィンの顔にはまだ火照りが残っていた。
ハンジが
「フィン顔が赤いよ?大丈夫?
熱があるのかな?」
ハンジの手がそっとフィンのおでこに触れる。
フィンが顔をパタパタと仰ぎながら、
「いやぁ、ちょっとこの部屋暑くて」
と笑顔で誤魔化す。
その様子を心配そうに見ていたモブリットがゆっくり歩み寄ってきて、
「フィン…大丈夫だった?」
と声をかけてくる。
大丈夫だった?は
リヴァイに何かされたでしょう?
って意味だろう。
「はい。大丈夫でした!」
とフィンは心配させないように笑顔で答える。
モブリットは笑うフィンに
「良かった。」
と声を漏らした。
モブリットの表情は心配を浮かばせていた。