第8章 理由と意地
モブリットが部屋を出て行ったあと
しばらく沈黙が流れる。
小さくリヴァイがため息をつく。
「おい、ガキ。
お前の目的はなんだ?」
「・・・・。」
フィンは質問の答えを考える。
リヴァイが睨みを効かせながら腕を組み
「質問を分かりやすくしよう。
なぜ地下街の人間を助ける。」
と呟いた。
ゆっくりとフィンが口を開く
「・・・・・昔、誘拐されたことがあったんです。
髪の毛が珍しい色だったからゴロツキの人身売買に捕まって、
気が付いたら地下街の家に閉じ込められてしまって」
と眉間にしわ寄せしているリヴァイの顔を見ながら話す。
「二日か、三日ぐらいだったか
水も食料も与えられず、閉じ込められてました。
もうすぐ売られるっていうときに、
私を助けてくれた人がいるんです。
その人は貴重な水と食べ物をくれて、
私を地上まで送ってくれたんです。」
懐かしそうにフィンの表情が柔らかくなる。
「その人に恩返ししたくて」
と涙ぐむ瞳でフィンは付け加えた。
「その人は『地下は底なしのゴミ溜めだ……お前は上に戻れ。
俺もいつか上に行くから、また会おう』
って言って送り出しくれたんです。」
会いたいな・・・・
とフィンの顔から微笑みが漏れる。
リヴァイは黙り込んで動かない。