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≪進撃の巨人≫ 蒼翼の天使 

第7章 紅い過去




体は生きることをガクガクと震えて拒絶する。

頭では生きようとするのに体が拒否を続ける。

精神と体のバランスが崩れる、
なにがおかしいのかわからなかった、
笑いすら込上げる。


ミケを見るともう、意識がない。

フィンの視界もぼやけ始め、
煙を吸ってむせ返る。
涙がとまらない。

「やっぱり生きてるのはつらいなぁ……。
お父さん、お母さん、ごめんなさい・・・・。」
と呟く。



『生きなさい!!』
と母の声が頭の中で木霊する。

もうそんな言葉は聞きたくない。
耳を塞ぎこむ。

天国なのか地獄なのかどこにいくのかわからないけど、
お父さんとお母さんに逢いたい‥‥

あぁ‥‥最後にあの人に逢いたかったな…
あの恩人との再会が果たせなかったことが心残りだった。

ぼんやりと考えていると
ミケが苦しそうに咳き込んでいるのが目に入る。
ミケだけでも・・・・
外に出ればまだ助かるかもしれない。


震える手で立体機動装置をミケの体につけ始める。
手の震えでうまくつけられない。

早くしないと、ミケが死ぬ。と思い焦り出すフィン。



うっすらと、外から叫び声が聞こえる、
誰かが私を呼ぶ声がする。


耳を傾けると、
「フィンー!!!
ミケさん!!中にいるんですか!?」
モブリットの声がする。


モブリットの声だ……来てくれたんだ……。
「おーい!フィン~!?」
ハンジの声も聞こえる。

安堵したのかフィンの手の震えが和らぐ。

ミケの体になんとか立体起動装置をつけた。


窓向かって椅子を投げ、壁に向かってアンカーを差し込んだ。

トリガーを引く。
ワイヤーが巻き取られてミケの体が
宙に浮かび上がり外に消えていった。


フィンはその場で力尽きるかのように膝をついた。


モブリットの
「ミケさん!?」という声が聞こえる。

よかった。
安心して逝ける。



燃え盛る炎の中フィンは瞼をそっと閉じた。

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