第7章 紅い過去
ミケも一緒にベッドの下を覗き込むと、
古びたノートをみつけた。
ノートを見開く。
そのノートには薬物の売買履歴がびっしりと書かれていた。
完全にノイン黒だ・・・。
愕然としながらノートを読み進める。
H・Sのイニシャルに目が止まる。
ミケがイニシャルを指さしながら
「心当たりは?」
フィンは首をゆっくり横に振る。
ノインの部屋を二人でくまなく調べる。
それらしい物は、なにもみつかない。
家の中に何か手がかりがないか、
二人で手分けして捜索をつづける。
ガサガサと漁っていた物音が突然しなくなり、
フィンはミケがいる部屋に足を進める。
「ミケさん・・・?
なにかありましたか?」
と声をかける。
ミケは無言でなにかを抱えていた。
立体起動装置を抱え持っていた。
フィンは「ミケさん、それは返してください。」
強い口調で淡々と話した。
ミケの顔が曇る。
「それは俺が判断することじゃない。
権限がないからな。」
ミケとフィンの空気が凍り付く。
その瞬間に
バリンッ!!!
窓から何かが放り込まれた。
ミケがとっさにフィンを抱えこんだ、
投げ込まれたものが赤く爆発した。
一気に部屋中が炎に包まれた。
”あの夢”が脳裏によぎる。
体の震えが止まらない。
紅い世界、”あの夢”より熱くて燃える煙で息をさせづらくする。
轟音で耳鳴りがする。
耳をふさぎこんで膝をつくフィン。
そっとミケが
フィンを引き寄せる、
「無事か……?」
フィンはミケを抱き抱え、倒れないように支えた。
もたれかかるミケの頭から血が出ている。
「私は大丈夫です…
ミケさんが庇ってくれたから……」
頭から血が…」
ミケの頭をそっと撫でる。
ミケが立体機動装置をゆっくりと指さす。
「お前は逃げれるだろう……
おれはしばらく動けそうにない……
行け……。」
と立体機動装置から窓へと指を向ける。
「私……ダメ……体に力が入らなくて……」
ミケを支える手がガクガク震えていた。
ミケが震えるフィンをぐっと抱き寄せて
「……お前だけでもいい生きのびろ。」
と力強くフィンの耳元で囁いた。