第6章 別れと再会
モブリットの優しい掌に自分の手を重ねる。
「ありがとうございます・・・・。」
とつぶやく。
「うん。いいよっ…」
モブリットは顔を背けて優しい手をフィンの頭から離す。
ミケが机の周りを捜索するが、それらしい手掛かりが見当たらない。
黙り込んで考えていたフィンが口を開いた。
「もしかしたら・・・・ノインの部屋に何か手がかりがあるかもしれません。」
「あぁ。確かめてみる価値はありそうだな。」
とミケがあごひげを触りながら言う。
「よし、それなら早く行きましょうか?」
とモブリットが浮かない顔をしているフィンに
気を使って優しく微笑む。
「ハンジに一応のこの事を報告しに行こう。」
とミケが言った。
三人でまた、ハンジの部屋に向かって歩き始めた。
ハンジの部屋に見覚えのある小柄な人物が入っていったのが見えた。
思わず、モブリットの後ろに隠れる。
モブリットとミケがほぼ同時にフィンに
「どうした??」と問いかけた。
フィンは震えながら
「あ、あの、私・・・
リヴァイさんと顔合わせたくないんです・・・・。」
と声を震わせる。
「・・・・わかったよ。
ここにフィンの家の住所を書いて。
俺が分隊長に報告した後で向かう。」
とフィンに住所を書くようにメモを手渡した。
フィンはメモを書き、モブリットに渡す。
「・・・・・勝手にいいんですか」
と消えそうな声でつぶやく。
モブリットはメモを受取りながら
「そんな顔されていたら、
こっちまでなにか悲しくなってしまうよ」
そんな無理強いはできないですよね、
とミケに笑いかけるモブリット。
ミケも首を縦にうんうんと振った。
フィンは相当酷い顔してるんだろうな・・・。
「ありがとうございます」
と乾いた笑顔を二人に見せた。
モブリットがハンジの部屋に向かって歩き出す。
フィンとミケは反対方向のフィンの家を目指して歩き出した。